工水料金改定の矛盾を斬る!

10月11日に閉会した川崎市議会定例会にて、川崎市工業用水道料金の改定に関する関係条例が審議されました。
工業用水道は、工業用水道の長沢浄水場と生田浄水場の他に、飲み水になる上水の長沢浄水場と神奈川県広域水道企業団で作られた水が一部給水されているため、工業用水道の料金改定は水道事業にも影響します。
今回の条例改正案の矛盾点がありましたので、私は修正案を提案しました。
今日のブログはこの内容についてです。

工業用水道料金の見直し

川崎市の工業用水道事業は、昭和12年に我が国初の公営工業用水道事業として給水が開始され、川崎市の産業発展における基礎インフラとして、経済成長に寄与して来ました。
工業用水道(以下、工水)の水源は、相模川水系(工水の長沢浄水場)、多摩川水系の河川水と地下水(生田浄水場)、水道用水(上水の長沢浄水場、神奈川県広域水道企業団受水)になっています。

このような中、図1のように、工水の施設の老朽化により、大規模改修が必要になっています。市内の工場の閉鎖や工場内での水の再生技術の進展とともに、図2のように工水の需要は減り、近年では大口利用者であるJFE東日本製鉄所の閉炉により、今後の事業経営が厳しくなっていくという見通しで、工水の契約事業者数の減少は、事業者への影響も出て来ることになります。

一方、工業用水は一定量の水道用水を購入している(これを上水受水と言います)経緯があり、水道事業にとっての貴重な財源になっています。
川崎市は人口が増えていますが、水道事業(以下、工水と区別するために上水とします)を利用していた町工場の撤退や、洗濯機を始めとした様々な技術により節水が進められたことを要因として、人口が増えていても上水の需要が減少する傾向にあります。
このため、令和6年9月に工水の料金制度の見直しに関する条例改正が上程される一方、来年度に向け上水の料金制度の見直しが検討されています。即ち、今回の工水の料金見直しは、上水の料金にも影響が出ることから、慎重な審議が必要になりました。

工水料金改定案の要旨
今回の工水料金改定に向けた、内容は、次の3点です。
①工業用水道事業の水源として給水する場合の水道料金(上水受水単価)の見直し
上水受水単価(工水から上水に払う単価)185円/㎥から、基本料金3,760,000円/日、40,000㎥/日までの使用料金10円/㎥、超過料金は39円/㎥。
②減量負担金制度について
責任消費水量(使っても使わなくても消費するものとした水量)を減量する事業者は、減量した分を負担することにする。
③工業用水道料金の改定
基本料金と使用料金を15.8%、超過料金を86.1%料金値上げ。
と唐突に数字が出ても分かりませんが、①の上水受水単価の見直しについて、設定に矛盾が生じているため、修正案を提案しました。
上水受水は、上水の水を工水に提供するもので、その水源は2通りあります。一つが川崎市長沢浄水場で上水になった水と、もう一つが、神奈川県広域水道企業団で上水になった水(以下、企業団受水)です。
両方が一体となって、工水に供給されているので、水に区別はできませんが、今回の料金改定では、上水受水はこれまで通り40,000㎥/日を供給していますが、工水施設の改修時に40,000㎥/日を超えた場合は、企業団受水から供給されたものとして算出するという見直し案になりました。

月本の修正案の提案理由について

私が矛盾点を修正するように提案したのは、上水受水における超過料金の設定についてです。

上水受水の40,000㎥/日にかかる経費は、上水をつくる原価、企業団受水の原価、送水する原価のうち8%を占めているという考えの中で、上水受水単価と設定されました。
一方、超過料金39円/㎥は、企業団受水の使用料金14円/㎥と送水に係る経費25円/㎥を合わせたもので算出されています。
しかし、企業団受水は、上水と工水を合わせて、505,000㎥/日の責任消費水量制として、使っても使わなくても川崎市上下水道局は企業団に基本料金36.8円/㎥+使用料金14円/㎥を支払っていて、実際に企業団受水は505,000㎥/日よりもはるかに少ない量しか使っていません。

つまり、超過料金39円では、図3のように企業団受水の基本料金分が入っていないことになり、言い換えれば、図4にように、工水で使った企業団受水の基本料金を上水で負担することにつながり、市民負担を増やすことになるため、39円→75.8円に改める修正案を提案しました。

 

 

賛成者は私を含む無所属議員5名のみで、他の議員の理解を得られず、否決されましたが、1日40,000㎥を超えた分の企業団から川崎市が買っている基本料相当分は、市民が使う水道料金負担になることが明らかですけ、厳しい決断でしたが、修正案を提案しましたが、否決されましたので、原案を反対しました。