衆議院総選挙で自公過半数割れと国民民主党躍進から1か月半が過ぎ、103万円の壁の引き上げとなる控除要件の緩和について、前向きな議論が進んでいます。
178万円まで引き上げれば、7兆6千億円の減収になると財務省は試算しているようですが、手取りが増えることで可処分所得が増え、消費にまわり、経済がまわります。そして、労働力不足が少し解消されることでも経済がまわります。そのような考え方で所得税や法人税等の増収については見込まれていないと推察されます。
そもそも、生活がギリギリでも手取りが減るから労働を抑制している専業主婦や学生は、手取りが増えた分は消費に回ります。
大学生のうち、学生支援機構から貸与型の奨学金を受けている人は約4割と言われていて、アルバイトでより稼げば、親の扶養から外れてしまうデメリットを考え、勤務時間を制限しています。
学費の貸与を受けていない大学生でも、生活費を稼ぎながらギリギリの暮らしをしている大学生がたくさんいます。
主婦(夫)もそうです。ギリギリのところで労働抑制している人たちは稼いだ分を貯蓄に回す余裕がないため、使います。
国や自治体の予決算を比較していて感じるのは、当初予算よりも税収が上振れし、上振れを含めた補正予算を編成し、翌年の繰り越しを差し引いた後の不用額は令和4年度で11.3兆円、5年度決算で6.8兆円でした。令和5年度で見て、国家予算140兆円から考えると4.8%は少ないと考えるのかもしれません。
しかし、7.8兆円分の歳出削減を実施する必要があるのかどうかです。
決算は不用額があって、差引後に余剰があるかどうかで赤字かどうかの判断になるわけですが、今赤字でも果たして将来にツケを残すのかどうかです。
労働力不足の原因の一部が税制であることが明らかで、税制を見直すことが必要で、単純に所得税収が減るだけでなく、増える分の計算をしているのか疑問です。
そこで、川崎市議会では、三宅隆介議員(無所属)の発案により、みらい(立民・国民・無所属)、共産党、無所属の吉沢章子議員、飯田満議員、三浦恵美議員、そして、私も提案者となり、「基礎控除額の引上げを求める意見書案」の提出を昨日議長に申し入れました。
「地方が減収になるから反対する」と地方自治体の長が異議を申し立てましたが、特別交付税等の措置を取ることで減収への措置は可能です。また、可処分所得が上がれば、消費税収は確実に上がります。
給付金は貯蓄に回ることが多いですが、減税は使うことが多く、また、給付金は給付の手続きにかかる経費が余分にかかるため、シンプルな減税が望まれます。
つまり、シンプルな減税で、可処分所得を減らし、学生の将来負担を抑制し、人々の生活を守ることは、労働力の拡大と経済成長を後押しします。
意見書13日の本会議で審議されます。