昨年から、基礎控除や配偶者特別控除の引き上げについて議論され、そこに垣間見えるのは、政治感覚の問題です。
何を目的に政治家になるのか?
政治は、最終的な決断をするまでに、様々な知識を習得し、市民や他の政治家の考えを聞き、調査研究を重ね、将来のビジョンをもって、最終決断します。
しかし、最初から結論ありきで、考えようとしない政治の仕組みになりつつあります。
直近の国政選挙である衆議院総選挙の投票率は53.85%、川崎市議会議員選挙では一番高い麻生区でも44%と5割を切っている状況です。
およそ半分、場合によっては半分以上が投票しません。
この結果、ある程度固定票を獲得できれば落選しないという状況になり、新たにチャレンジする人は、ブームになる新興政党の公認候補以外には皆無に等しいです。
特定の支援組織に守られれば当選できるため、国民・市民のためではなく、支持者のために働く政治家が増えてしまっています。固定票の積み上げを見て、当選が難しいと思えば、選挙に立候補しても無駄だと考えて、挑戦する人が減り、なり手不足になります。
これでは、政治はよくなりません。
現在、国では基礎控除や扶養控除の引き上げ等の議論がされており、与党過半数割れの中、国民民主党の提案を受けるかどうかの議論が続いています。
しかし、与党過半数を考えれば、自公は他に組める政党が連立入りしてくれれば、それでいいという考えで、政策的な議論よりも政権の保身を取るのではないかという見方が出てきています。
東京都知事選挙での石丸氏の躍進や兵庫県知事選挙での斉藤氏の再選は、これまでのオールドメディアの報道だけではない角度からの情報収集により、下馬評を覆す結果を有権者が判断しました。
この点では、新しい人がチャレンジできる可能性を見出せたのですが、何が本当かわからない選挙というキャンペーンビジネスにつながる危険性が出て来たのも事実です。
情報化社会の進展に伴い、様々な情報を発信することも手に入れることも可能になりましたが、その判断が難しいと「感じられる」時代に突入しました。
オールドメディアの報道が公正中立で正しいと思い込んでいたことから、そうではないと気付く時代になったこと、現在の社会は複雑になっていて、新たな法制度の整備が必要な一方、複雑化したものを解きほぐし、国民の将来をしっかり考えた政治システムを構築していくことが求められる時代になっています。
先述の結論から始まる議論は、いわば宗教論争と同じで、信仰先の異なる信者がお互いの信仰先が正しいとどれだけ議論しても一つの結論に至るのは皆無です。
税金の高い国は、投票率が高いと言われますが、スウェーデンでデンマークの投票率は8割を超えていて、政治に関する議論は子どものころから日常茶飯事です。
我が国は、政治の話はタブーという先入観から、政治のことを考えないということにつながっていますが、その背景に、「お上は正しい」という基本的な考えが根底にあります。
しかし、「お上」とは誰でしょう。
かつては「お上」は天皇でした。
戦後になり、「お上」は役所というイメージに変わっています。
役所の批判はするけど、役所が語る財政危機問題は信用している人が多いのが、現状です。
役所も正しい部分があれば、間違っているところもあります。
私たち政治家の主張に対し、「役所はどう言っているの?」と聞かれ、役所に確認されることもしばしばありますし、その逆もあります。
誰かの主張に頼る、誰かの意思決定に従うという風潮が我が国の政治にはまだまだあり、オールドメディアに従っていたのは、「みんな言っているから」という責任放棄に他ならないわけです。
国民の投票行動だけでなく、政治家自身も「みんな言っているから」ということで、採決の判断に至ることも多く、これが隠れた独裁政治を生んでしまいます。
若い世代のポテンシャル
昨年の12月24日に、川崎市議会議員と高校生の意見交換会がありました。まっすぐで、問題意識があって、前向きなビジョンを持っている高校生たちの意見はとても清々しいものでした。私は社会性があり、自己決定力の若い世代の人たちに期待しています。
先ほどの、自己決定力というのは自己責任をしっかり持つという点で、社会づくりを進める上で、年長の世代よりもはるかに高いポテンシャルを持っています。
しかし、大人になるに連れ、手抜きを覚えたり、可能性を否定したり、歪んでいくということはありますので、大人として、適切なサポートをすることが重要と考えます。
安心できる未来づくりへ
税金が高いから社会保障が充実しているという北欧の話が出ますが、税金が中途半端に高いのに将来に不安のある我が国は、やはり今のシステムに問題があるわけです。
政治不信の原因は将来不安です。
新たな社会保障制度を考える際、制度の複雑化が前面に出てしまい、何となく増税しないと賄えないと考えてしまいます。しかし、社会保障を受けなくて生活できるような自立社会を目指していくことが重要で、そのための社会システムの構築こそが、人々が幸せに年を重ねられます。
それによって社会保障関連経費の抑制につながることで、いざというときの不安を解消する仕組みを構築していけるわけです。
財政不安のネガティブから生まれる将来不安ではなく、人々が健康的に過ごせる社会づくりを目指すことで、不安を解消していく時代をつくりたいです。
そして、現在のように、何となく税金を上げるという考えや、税金が足りないという不安を煽って控除の引き上げに反対するのではなく、国民が様々な角度から考え議論していく社会になれば、投票率も自ずと上がります。
政治は国民のものです。
身近なことから、疑問に思うことなど、ぜひ尋ねてください。一緒に考えて、一緒に解決し、ともに輝く未来をつくりましょう。