現在のわが国の政党(ここでは政治資金規正法における政党を指します)は、10政党ありますが、私が初当選した14年前にあたる平成23年当時から存在する政党は、古い順に日本共産党、社会民主党、自由民主党、公明党のわずか4党です。
次に古いのが平成27年結党の日本維新の会(前身に大阪維新の会や維新の党がある)で、今年で10年になります。
野党第一党の立憲民主党は、結党5年ですが、前身の民進党の名残と、結党後の総選挙以降、野党第一党を続けているため、新興感はありません。
新興政党が残念な末路になっていく理由は2つです。
1つはお金です。
とりわけ政党交付金と、衆議院参議院の議員数に応じて会派に支給される領収証不要の立法事務費が政党を狂わせます。
政党要件は、直近の国政選挙で選挙区もしくは比例区の合計で2%以上得票するか、国会議員5名以上(解散時は前衆議院議員と参議院議員の合計)の2つのルールがあります。国会で議論されて流れている企業団体献金も政党にしか認められていません。
新しい政党ができると、政党交付金と立法事務費(立法事務費は会派届すれば政党ではなくても対象になります)が支給対象になります。
政党交付金は、国会議員数と、国政選挙の得票数をもとに算出されます。
全体の予算から、無所属議員や交付金を申請しない政党の議席数や得票数は除かれますので、少ない政党でも国政選挙を経ていれば年間1億円以上の配分になることが多いです。
また、立法事務費は1人あたり月額65万円ですので、5名いれば年間3,900万円になります。
そして、国会議員が少ない、或いは政党の規模が小さい場合は、その使途について、党の役員会で決定ならまだしも、党首や幹事長など一部の人の決裁で使用することが可能になってしまいます。
中小政党でお金の問題が発生するとしたら、政治献金よりも多い割合を占める公金から来る政治資金の使途で、幹部が独裁してしまうケースです。
そして、もう1つは、党内の勢力争いです。
ベンチャー政党は、まずは国会議員5名ぐらいの少人数からスタートします。
その後、国政選挙を経ると、5名の議員に合わせ、後輩議員が誕生しますが、急激に10名増えた場合、現職5名と新人10名になります。新人教育に手が足りないということもある一方、新人10名が結託すれば両院総会で現職が負けてしまうことがあります。このようなことを防止するために、新人だけを公認するのではなく、他党にいた元国会議員を公認するという手段に出ることはよくあることです。
そして、ここで覇権争いが始まります。現職5名はそれぞれ自分の友達を連れて来ようとします。ミニ派閥の形成です。
その後、派閥の勢力拡大が始まると、5名で結束して始まった政党が、いつの間にか3つの派閥になり、権力争いを始めます。
自民党のように、総理大臣や大臣ポストを争うならまだしも、党内の小さなポスト争いになるケースが新興政党にあるパターンです。
政策実現のために政党はある!
もはや国民は政策実現のために政党があることを忘れてしまうような現状になっているのではないでしょうか。
お金と勢力争いに明け暮れる政党に国民は期待していません。
現在の政党でも、党内の勢力争いで目的がブレていると思えるところがあります。
私がかつて所属していた、今は亡き、みんなの党という政党は、この2つの問題で消えた典型例と言えるのではないでしょうか。
歴史は繰り返す。
繰り返すことで感覚が麻痺していく。
私は、それぞれの政党が党綱領や結党精神などの原点に返り、政治をやり直すべきと考えます。
そして、新興政党は党首や一部幹部の独裁ではなく、政策実現のために何をすべきかを考えて行動していくべきと考えます。
新興政党は、少なくともこれまでの政治にはないものが支持されているので、先ほどの2つの問題に気を付けて、国づくりのために尽力してもらいたい。