なぜ退席するのか?

本日の本会議で採決になる小児医療費助成条例改正についてです。

小児医療費助成制度は、どこで暮らす子どもたちも日本全国一律にサービスを受けられるようにするためには国がすべきことですが、やらないから市ごとに助成制度を設けています。

そして、今回の改正案は、来年の9月より、通院中学3年生までの年齢制限から18歳までの年齢制限の引き上げと、小学4年生以上の一部負担金を廃止するものです。

という考え方については賛同するところです。

言い換えれば、反対ではないのです。

しかし、議案上程の背景やこのタイミングで実施することの問題があり、来年の9月からなら今採決するやむを得ない理由はありません。

 

来年9月1日からの問題

政治的な判断で改正する割に、年間13億円はかなり大きな話で、この背景には、横浜市の引き上げがあると考えられます。

そもそも、来年9月1日からの制度設計であれば、来年度は上半期分を含めた償還払いを可能とする制度設計も可能なはずです。

また、今定例会に無理やり提出しようとして、9月初旬からのパブリックコメントを取り、本日議案上程後に、本会議・委員会を開催し、採決という、わずか1日で決めるものです。

来年度、しかも9月からの制度設計に関わる予算ですので、12月議会に上程することも可能です。

 

財源の根拠の問題

平成29年4月に小学6年生まで引き上げた際に、小学4年生以上の一部負担金500円という制度を導入し、その後、令和5年9月の中学3年生まで引き上げの際も現在に至るまで継続して来ました。

これまで、500円を受診控えにならない程度の負担額ということで、その背景には財政的事情があるとのことでした。

今回の改正で、毎年約13億円の歳出増が見込まれますが、この財源の根拠はまだできていない状態です。

これは、私が主張しているように減債基金の積立額の抑制であれば賛同できますが、この内容について、「全体的に何とかする」という曖昧な精神論でした。

精神論で年間13億円を調達するには、歳入・歳出両面から何かをしないといけないことになります。

毎年のことなので税収の上振れ分だけを想定してできるものではありません。

すると、何かを削るか、税金や使用料・手数料等を上げるのか、全く読めません。パブリックコメントの結果においても、妊婦検診や出産費用の助成、産後ケアの拡充などを求める意見がありました。

財源論を明確にしなければ、新たな支援の可能性も奪うことになります。

 

政治日程の問題

市長の任期末になりますが、小児医療費助成制度については、一部負担金を導入した福田市長が論理的な説明なく廃止することは、これまで負担してきた人たちに不十分な説明になります。

先述したように、来年9月からの制度設計であれば、1012日議決でも次期の12月定例会議決でも問題はないわけです。

また、明後日12日に川崎市長選挙が告示になるため、選挙前のパフォーマンスと指摘されても仕方がないことと思います。

 

採決態度について

採決態度は賛成か反対かです。

私は市議会議員として15年目になりますが、この度、初めて「退席」します。

それは、内容は大枠賛同できるものですが、財源が明確になっていないことと、市長が市長選の公約に掲げ、再度当選したのちの12月の定例会で議決すればいいことで、日程的にも難しくはないのです。

行政側の所管事務調査の報告やパブリックコメントがあっても、議会の審議としてはたった1日。

次の定例会でも間に合うということと、このような手法の問題を意思表示するため、この後の本会議では、議案第173号・議案第174号は「退席」という態度にさせて頂きます。