砂上の楼閣「特別市」

以前も特別市について、私の考えを書かせて頂き、YouTube動画でもお話させて頂いておりますが、市制100周年の宣伝に合わせ、特別市の広報が出回っています。

~特別市の議論~

YouTube月本たくやチャンネル~川崎市が目指している「特別市」とは何か?~

町内会連合会の役員会や民生委員の会議等にも、市は特別市について出前講座をしています。

特別市のいいところばかり説明し、さも、数年でできそうな気にさせてしまう話術の陰で、「現実的にできるの?」と冷静な意見の方もたくさん出ています。

課題や検証が必要なことについては以前のブログで書かせて頂きましたが、今回は実現性について書かせて頂きます。

機運を高める?

「特別市を目指す市民の機運を高める」と市は言っていますが、特別市になって便利になることは言っていても、先ほどの法令改正の具体的なものも見えていない中で、単なる二重行政解消という聞こえのいいポピュリズムとしか思えません。

そして、都合のいい話を並べても、市民の機運は高まっていないのが実情です。

国の法律や政省令の改正が難しい

特別市制度を作る際、国の法律や政省令で、どれだけのものが改正になるか?

以前のブログで、警察組織機構を変えるのが大変と書きましたが、様々な法律や政省令で「都道府県」が謳われている部分や特別市に移譲する部分の改正が必要になります。

どれだけ改正が必要かを市に尋ねたところ、分からないとの回答でした。

そして、これらの改正を行うのは、国であり、原案を作るのが各省庁ですが、その事務作業が煩雑で、国の役人は通常業務に合わせてやる気はないでしょう。

政治主導で特別市と言うが・・・

国の法令改正を進められるとしたら、国会議員になるわけですが、政権与党の事情からして、非現実的と言わざるを得ません。

政権与党である自民党は都道府県連で国会議員を公認し、都道府県連を事実上運営しているのは都道府県議会議員です。自らがプライドを持って広域行政のチェック機能を果たしている都道府県議会議員は、特別市推進の国会議員に対し、「広域行政を分かっていない国会議員は公認できない」ということになりかねません。

以上が、特別市が見かけは立派でも実現不能な砂上の楼閣である理由です。

政令指定都市の政治家は特別市を公約に掲げると楽です。

「できないのは制度のせい」

「特別市の実現が私の公約です」

これで、引退まで選挙は戦えます。

内政に行き詰ると、ロシアは北方領土を刺激し、韓国は反日攻勢を強めるのと同じで、行き詰ったら特別市です。

特別市をやるなら政令指定都市選出の国会議員に進めてもらうべきで、予算を割くべきではありません。

川崎市は特別市推進のために中途半端な毎年2600万円の予算をつけています。

毎年2600万円をコミュニティ交通に回してくれれば、交通不便地域の課題解決に向け、大きく前進します。

よって、川崎市は、特別市の推進の手法について「再考のまち」になるべきです。