スマートな自助・共助・公助

 

okayama

11月11日、電子町内会の視察調査で岡山市を訪問しました。

 

以前、電子町内会について、議会の一般質問で取り上げましたし、以前にブログでも書かせて頂きましたが、改めて現地調査で訪問し、その運用の状況について確認することができました。

 

岡山市では2002年に電子町内会の導入を進めました。

 

思い返してみれば、2002年、私はまだ大学生で、大学で年に1~2件ほどメールでのレポート提出があったものの、まだまだパソコンの普及率もインターネット普及率も高くなかった時代。この時期に、1連合町会、6町会の計7団体が電子町会を導入したのが岡山市でした。

 

当時の市長が旗振り役で進めたことが始まりだったということで、川崎市内の町内会・自治会で電子媒体を使用している割合が非常に少ない現状から考えると、現在の岡山市では連合町会でおよそ6割、単位町会でおよそ4割が導入しているのは割合がかなり高いと言えます。

 

特徴として、町内会の外向けのサイトと町内会員専用の内向けのサイトがあり、公開と非公開がしっかり分かれています。

 

外向けは、地域の紹介が記載され、町内会の内外に情報発信するもので、会員専用の内向けサイトは、地域の課題解決や地域の交流の場になっています。

 

課題解決の一例として・・・掲示板への書き込み

 

Aさん:「漆の木が道路にかかって通行に支障が生じている。市役所に伐採するよう依頼してほしい」という町内会長向けの書き込み

 

Bさん:掲示板を読み、漆の木の現場を確認。その後、私有地であることを確認し、Bさん本人が伐採することを掲示板に掲載。翌日に伐採し、その旨を掲示板に回答。

 

Aさん:伐採されたことを確認し、御礼メッセージを掲載。

 

自助・共助・公助と言う言葉がありますが、Aさんが自分でできない(自助ではできない)ことを、市役所に依頼してほしい(公助を希望)という書き込みでしたが、Bさんが行った(共助)事例です。

 

短く言えば、地域での課題を地域で解決した事例です。

 

そして、AさんとBさんは面識がなく、同じ町内に住んでいるというだけの関わりですが、Aさんが課題を指摘し、Bさんが解決したということが特徴と言えます。これは、共働きの多い川崎市においても、顔の見えない関係から地域の一員として地域活動を進めるきっかけづくりができる機会として大きな期待ができるものと考えます。

 

いま紹介したのは課題解決の一例ですが、防犯や地域活性に役立てている事例もあり、会員専用で管理をしっかりしているため、誹謗中傷の書き込みが生じておらず、導入後10年ですが、順調に運用されているとのことです。

 

電子町内会と言うと、運用面で大変ではないかということですが、ページサーバーを市が無償で貸与し、町内会の中で、実務責任者・運営委員・ウェブサイト管理者とそれぞれ役割分担を明確にすることで、運用がスムーズに行われているとのことです。但し、導入後10年で、運用の後継者へのバトンタッチがうまくいっていない町会もあり、継続性の課題が出てきているという点もあります。

 

しかし、川崎市ではむしろICTスキルの高い人の割合が大きいことから、継続性については手法次第でスムーズに進められると考えます。

 

町内会は市民の自主運営組織ですが、そこに大きなヒントとサポートを提供し、市民生活を進めやすくするという発想で当時の市長が旗を振って進めたのが電子町内会。
川崎市でも積極的に進めたいです。

 

この当時の市長、地域目線で旗振りをしましたが、前職は通産官僚で、前職のノウハウの活用を始め、様々な手法を駆使して、リーダーシップを発揮し、まだパソコン普及率が低い時代に先進的に進めたということで、決断と実行が現在につながっています。