はるひ野町内会のオンライン役員会を見学

先日、はるひ野町内会のオンラインを活用した役員会を視察させて頂きました。

私は、初当選以来、電子町内会の積極的な推進を提唱して来ましたが、川崎市が、市全体として電子町内会導入フォローということはなく、かなり慎重という背景があります。

このような中、はるひ野町内会は、ICTを活用した効率的で先進的な町内会運営を進めており、コロナ禍において、オンラインを活用した役員会を開催されていることから、今回、杉本会長にお願いし、視察させて頂きました。

1点目に出席について

Zoomを活用した会議ということで、自宅でZoomを開けない方や不安のある方は会場で出席して頂き、自宅で可能な方は自宅からオンラインで出席するものです。

現在は、8名程度の執行部役員が会場に集い、他の数十名のブロック長のうち、この日は2名が会場、他の29名はオンラインでの出席でした。

2点目に資料について

回覧物の説明があるため、役員会資料を会場の地域交流センターに事前に取りに来てもらい、自宅に戻ってログインする形式で、密を回避しています。

また、回覧物以外の資料の説明はZoomでWeb上できるため、参考資料をペーパーレスにすることが可能になっています。

3点目に出席率の向上について

オンラインを進めることで顔の見える関係が希薄になるという意見があるものの、Zoom上で執行部は必ず顔を見せ、自宅で可能な方はビデオ機能をオンにしていました。はるひ野地区は子育て世代が多く、土曜日の夜に自宅で子どもたちと一緒にいる家庭も多く、資料さえ受け取れば、自宅を離れずに出席できるという利点があります。特に、コロナ禍ですから、役員会に出席するという密になる空間に出ていくリスクを回避して出席を可能にしますので、役員さんだけでなく、家族も安心できます。

4点目に質疑等について

会議ですから、口頭での質疑応答があるわけですが、この日も質問事項がありましたが、検討が必要な項目であったため、口頭で質問をしたブロック長から、メールで詳細を送って、後日の検討を求めていました。オンラインであるからこそ、口頭に加え、迅速な詳細説明ができるというメリットがあります。

5点目に回覧や連絡手法について

はるひ野町内会は、1000件近く登録されているメール配信システムの活用を進めて来ましたが、近年、SNSの方が利用しやすいというニーズに対応し、今年からLINEを活用した連絡や回覧の導入を進めています。

回覧板を回覧するにあたっても、接触リスクはあるため、コロナ対策であると同時に、現物の回覧であれば、日中不在の場合だと、1日1軒ずつしか進まないため、15軒あれば、15日かかるわけで、リアルタイムの情報を提供するにもICT活用は効果的です。

仮に、完全ペーパーレスになったとしても、回覧物の説明は月1回の役員会でブロック長が説明を受けているため、近隣の方が不明な場合は尋ねることもできますし、メールやLINEで問い合わせすることも可能です。

コロナ禍における町内会・自治会活動の可能性について

まずは、はるひ野町内会で実施しているような、運営手法について、オンラインでの役員会の開催、回覧物を始めとした情報をメールやSNSでの配信の検討の可能性が挙げられます。ここで心配されるのがICT弱者対応です。ICT弱者の方々については、従前からの紙媒体での配布や会場での役員会出席できるため、従前と変わらずに対応できます。

次に、資料作りについては、一定の課題があると考えられます。よくあるパターンとしては総務部長がほとんどの資料を作成しているという町内会・自治会があるというところです。しかし、はるひ野町内会を見てみると、各部の部長がそれぞれの持ち分の資料作成を完結しているため、この点も負担の集中を回避できる可能性は高いと考えられます。

最後にイベントについてですが、ちょうど新年にかかる時期でしたので、はるひ野町内会では、新年の餅つき行事をウォークラリーに変更して開催する予定とのことです。今年は幸区で区民まつりが中止になった代わりに、スタンプラリーイベントを開催した例があります。外で密にならない形で極力リスクを下げてのイベント開催は、子どもたちにお祭り気分を味わって元気になってもらえると考えられます。

以上のように様々な工夫により、その先進的な取組を拡散していくことで他の地域も活性化できる可能性がありますので、大きなヒントを頂きました。

川崎市としてすべきことは?

1つ目に、すべての町内会がオンライン対応できるようなインフラの支援です。

町内会館を有する場合は、ここへのICTインフラの整備支援、また、町内会館がない場合は、その拠点への整備支援をすべきです。

2つ目に、ICT技術の活用支援です。はるひ野町内会は、導入にあたっての準備ではご苦労された点もあるかと思いますが、会社組織等でICTを活用されている方が多く、理解のある方が多いと見受けられました。そう言った点では、先進的な町内会ですので、ICT技術の段階的な導入を進めるにあたり、他の町内会でどのような課題があるかのポイントを整理し、市がICT技術の活用の支援を進めて行くべきと考えます。

コロナ禍で、様々な課題があり、行政よりも地域の方が対応が早いケースも多く、これらの先進的な取組をもとに、川崎市は、町内会自治会の活動活性化に向け、新たな視点で支援を検討すべきと考えます。