太陽光パネル施工ID取得に助成金?

今日、来週から始まる定例会が告示され、条例議案、事件議案、そして、補正予算案が提出される予定です。

国から出される新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金も4年目になりますが、コロナによる医療や経済を始めとした市民生活への影響の対策、コロナ後のことを見据えた対策などが交付事業メニューの条件になっています。

これまでの交付金では、医療現場はもとより、中小企業の信用保証料補助や川崎じもと応援券などの経済対策、テレワークの導入を始めとした働き方改革の支援などが行われています。

今回の補正予算でも新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用したメニューがいくつか出ていますが、どうも腑に落ちない事業が一つあります。

市内事業者に太陽光パネル設置の施工IDを取得する研修費を全額補助する事業。

施工IDというのは、太陽光パネル設置工事の施工をする職人に必要な資格と言える(施工IDがない職人の設置の場合は保証されない)もので、メーカーごとに発行されます。

そのため、例えば、シャープ、三菱、パナソニックの施工IDを取得するためには3社分の施工IDを取得するもので、いくつかのメーカーのものをまとめて取得することもできるようです。

この予算が、約1,100万円で、メーカー1社あたり約3万円×市内事業者のうち該当しそうな事業者60社のうち2/3×各社およそ3名ずつ×3メーカー分の施工IDをもとに立てられたというということです。

で、何が腑に落ちないかというと、お気づきに方もいらっしゃると思いますが、3月の議会で、太陽光パネル設置義務化の条例が可決されました。(月本を含め4名の議員は反対し、今期も4人とも再選)

太陽光パネルを設置する事業者はパネルメーカーの施工IDを取得しなければならず、大手や東京都内では取得事業者が多く、川崎市内事業者が少ないため、市内事業者に取得の助成金を出すとのこと。

太陽光パネル設置の義務化により、設置関係事業者は仕事が増え、需要が見込まれるわけですが、施工IDがなければ取得すればいいだけの話で、先ほどの取得費用が1社3万円程度ですから、パネル等の機材を購入する費用に比べても高額とは言えず、企業の先行投資の範疇のものです。

まして、企業に仕事が増える見込みの分野の資格取得に補助を出すということは聞いたことがありません。

今回は脱炭素メニューだからという理由のようですが、例えば、環境にやさしいタクシー事業者さんが普通免許を持っている人を採用し、「タクシードライバー養成のために二種免許取得のために補助金がほしい」と言えば、出すのか?と言う話になります。

そこで、環境局や経済労働局が、研修や資格取得のための費用を助成している補助金の例があるか、それぞれの局に尋ねたところ、経済労働局の働き方改革支援の研修の補助金がある程度で、ほかに該当するようなものは見当たらないようです。

中小企業の働き方改革は、生産性向上につながるものの、その前段階で労働環境の充実のためで、「儲けるための支援」ではなく、「労働環境の支援」ですから、支援と機に乗り出す企業がいるため、これは合理性があります。

一方、すでに需要が見込まれる事業への研修補助というのは必要なのか?

さらに、ペロブスカイト太陽電池の応用化・実用化が期待される中、このような従来の太陽光パネル設置の施工ID取得補助を税金で補助することが本当に先行投資になるのか?

再エネ促進のために条例改正を行ったわけで、省エネ促進について熱絶縁施工技能士のように、省エネ分野の資格取得の支援を行るべきではないか?

特定の事業者支援にしか映らないのは、私だけでしょうか???

第3回川崎市議会定例会は6月12日から始まりますので、ぜひ審議を注視して頂ければと思います。