年末近くに政党ができる理由

政党とは、共通の政治的目的に向かって活動する組織のことを言いますが、我が国の公職選挙法・政治資金規正法・政党助成法等の法律に定められる政党要件というのは、また別になります。

国会議員5名以上(衆議院解散時は前議員も含む)、もしくは、国会議員1名以上で直近の国政選挙で選挙区もしくは比例代表の得票数が全国の2%以上の要件を満たすことになっています。

この政党要件を満たすと、政党に法人格が付与されるとともに、政党助成金の交付対象になります。さらには衆議院総選挙において、小選挙区と比例代表が重複立候補できるのは政党要件を満たす政党所属の候補者だけで、選挙運動においても無所属や政党要件を満たさない団体よりも優位に運べます。

衆議院解散が近づくと新しい政党ができるのは、政治信念で集まると言う当たり前の理由よりも、選挙目当てではないかと思われるのは重複立候補ができるかというルールも関係します。

次に、今回のタイトルである12月に政党ができる理由です。

政党届を総務省に提出するにあたり、いつ提出するかが重要になります。

この基準日が国政選挙(衆議院総選挙・参議院通常選挙)の翌日または任期初日、そして、毎年の1月1日です。

選挙後に、政党交付金の金額が変化するのは、選挙結果ですので、民意が影響するのですが、選挙と選挙の間で政党の構成が変わった場合は、1月1日が基準になります。

この年の1月1日時点にあった政党に対し、4月、7月、10月、12月に政党交付金が交付されます。

すなわち、1月5日に政党届を出しても、この年は政党交付金をもらえません。

そこで、11月後半から政党づくりの政局が加速します。

また、議員が所属政党と考え方が違うと言うことで、別の既存政党に合流するよりも新党結成を選ぶ理由は、公職選挙法と国会法にあります。

比例代表で当選した議員は、選挙時に競合した政党に所属した場合は失職します。選挙時に所属していた政党がなくなった場合は、既存政党に所属できますが、なくなった政党で当選していない限り、比例代表選出議員は無所属か新党しか選べません。

明らかに次にどこかに合流する政党だとわかっていても、選挙までの間は新党で過ごすというようなやり方もあり、国民にとってわかりにくい永田町の論理です。

公職選挙法が分かりにくくて、社会人として普通のことをしていて違反になってしまうような法律であると同時に、比例代表は選挙だけでも複雑なのに失職する条件もわかりにくいものになっています。

小選挙区になり、少数意見を救い上げるための比例代表と言いつつ、政党要件を満たしていなければ重複立候補ができないという矛盾があります。

そして、次に新党ができるタイミングは、衆議院解散が見えて来る頃です。

来年度予算審議でソワソワし始めます。

新党結成に動くグループ、政党の合併、一時的な政党を作ったグループが解散後に既存政党に合流するなどが現れることになるでしょう。

国政選挙は国民の代表を選ぶものなのに、法律の運用や永田町の思考回路で物事が運び、結局何を言っているのかが分からない選挙になることがある背景には、このような制度上の問題があります。しかし、この制度を作っているのは国民の代表たる国会議員ですので、制度を言い訳にしてはいけません。

政党の綱領や基本政策が本当にその集団がこれから進む方向性のものなのか?

そんなことに関係なく政党届は形式審査ですので、法律上は結党できます。

一方で党員が何万人いようが、国会議員が1人もいなければ政党にはなれません。

よく国会の政局に巻き込まれる地方議員の姿を見ますし、私も10年半前に巻き込まれた一人でした。

政治は国民のものです。

政党をつくる人は生み出す責任として長く続けることを念頭に活動してもらいたい。