国政選挙が近づくと、野党一本化とか野党統一候補なんて言葉をニュースで耳にしますが、昨今、とある政党の一部のグループで野党一本化を進めようとする動きがあります。
仮に野党一本化をすれば、小選挙区では数字の上では与党に迫れるという足し算なのでしょうが、これはまったくもって民意を無視した話です。
小選挙区制度になり、政権選択選挙の色合いが強くなり、〇〇党公認候補に選ばれた段階で「最低でも比例復活がある」と言われる選挙区も多いわけですが、その一方で、「〇〇党支持者だが、〇〇さんは嫌だ」という人の投票先がないというご意見も頂きます。
一方、野党一本化の場合も投票先を失う可能性は広がります。
「野党の□□党に期待しているが統一候補になったのは△△党なので、小選挙区は投票しない」という人も出て来ますし、投票に行かない人も出て来ます。
野党統一になって「自分が行っても政権交代はない」と思っていた人が投票に行くことはあったとしても、政策選択よりも政権選択が優先の選挙になっています。
1996年に小選挙区比例代表並立制がスタートして、まもなく30年になろうとしています。
小選挙区にするときには、一選挙区で一人だけを選ぶ慎重な選択と、少数意見を取り入れる意味での比例代表と言われましたが、28年経っても、制度が分かりにくいとご意見を頂きます。
そして、ややこしくしているのは、小選挙区で落選しても比例代表で当選できるいわゆる「比例復活」です。
選挙区によっては、小選挙区での落選者全員が比例復活しているケースもありますし、2位で落選しても3位が比例復活しているというケースもあります。
また、比例復活のためには、小選挙区でいかに惜敗だったかの惜敗率で順位を決めるケースが多く、これもまた分かりにくい制度です。
このような理由から、私は小選挙区制度から選挙制度改革を検討すべきと考えます。
先述のように〇〇党支持者の方が、〇〇党公認で複数の候補者がいれば投票先の可能性が広がります。
そして、2位が落選して3位が比例復活するような、民意ではない不思議な現象が生ずることもなくなります。
確かに中選挙区から小選挙区になって、地元活動はしやすいかもしれませんが、東京都の世田谷区や大田区のように都議や区議よりも衆議院議員の方が選挙区が狭くなるという事例が生じ、特に東京近郊だと地元ばかりウロウロしている衆議院議員がゾロゾロ出て来ます。
国民の声を聴くのは当然のこととして、私たち市議会議員よりも地元にいる姿を見ると、我が国は大丈夫かとさえ思ってしまいます。
話をもとに戻すと、一見選挙区が小さければ国民の声を聴けるという物理的な理由はありますが、その一方で、有権者の選択肢が少な過ぎるという問題が発生しています。さらに野党一本化なんてことになれば、さらに選択肢を奪いかねません。
選挙制度の見直しを公約の一部に入れている政党もありますが、「政治に完成はない」と言う言葉のとおり、選挙制度改革も検討すべき時期に来ていると思います。野党一本化と言う考え方が違う者同士が選挙で勝つためだけに手を組むという発想ではなく、制度を見直すことが本務ではないでしょうか?