近年、生活保護費の不正受給や若者の生活保護問題などが取り上げられています。
平成26年度は景気のわずかな上昇の影響もありつつ、不正受給対策や若者の就労支援等、様々な施策が進められていて、それぞれの施策で一定程度の成果が生まれているというデータが、決算で見えて来ました。
障害者世帯は、障害年金受給対策等の施策の効果で初の微減。
若者の問題が代表的なその他世帯も近年鈍化傾向にあります。
これらは景気動向に影響を受けるものの、少しずつ取組の効果が現れているものと、市の取組を評価したいと思います。
高齢者世帯の生活保護
しかし、高齢者世帯の伸びが大きく、生活保護扶助費は、一般会計の総額が大きくなったので、一般会計予算のうちの構成比1割を切ったものの、金額としては増加しています。
まず、国民年金制度では、2か月で13万円程度の受給金額ですので、生活ができなかったり、そもそも年金受給資格がなかったりという世帯が多いわけです。
日々の生活で精一杯という暮らしを送って来られた世帯、突然の生活の変化があった世帯もあれば、将来設計ができていなかった、或いは右肩上がりの時代だった故に、社会保障は国や自治体が面倒を見てくれると楽観視してきた世帯もあると言えます。
リタイアプラン
生活保護費は、高齢化に伴い、高齢者の中での生活保護率を減少させない限り、常に増加の一途を辿ります。そして、現在の制度のままでは、高齢者の人口増加よりも保護率が高い伸びを示す可能性があり、これは、私は、生活保護問題が社会保障全般の問題と捉えています。
さきほど、将来設計不足のことや、国や自治体が面倒を見てくれると考えている人のことを例に挙げました。これは突き詰めていけば、主権者教育の問題に至ってしまうのですが、すると、これから50年以上先まで待たなければいけなくなるので、まずは、来る人口減少の時代までの設定が必要です。
例えば、40歳で介護保険の保険者になり、この年代には家庭の将来についてある程度予想がつくわけです。
すると、40歳を機に、改めて老後を含めた将来設計、いわゆるリタイアプランを考えていく機会を設けるべきと思います。
それは、定年を迎える世代の方々に進めているような講座であったり、民間のライフプランナーさんの講演や相談であったりと、様々です。
日々の生活がやっとと言う人も多く、それぞれに合った形での情報提供を進めていくことが必要です。
社会保障の問題
生活保護は最終的なセーフティネット。
しかし、根本的に、生活保護制度は、国の定めた制度の中で、自治体が実務や財源の一部を負担しており、自治体の努力で解決できる範囲が狭いと言う課題があります。
生活保護制度が導入された時代と、現代とは状況が異なり、社会保障制度の大きな課題として捉える必要があります。
最終的の一歩手前であったり、自立できる可能性のある人への支援であったりと、世帯分類をしていることと一緒で、それぞれにあった支援の形があります。
よく聞かれるのは、「少し働くよりも、働かずに生活保護もらった方が手取りがいい」という話。
出来る範囲の努力に対し、生活に足りない部分の支援を進めて行けるような制度に変えるのも一つでしょう。
市でできる範囲に捉われず、出来ること、すべきことを一つ一つ進めて行きます。