子どもの貧困と子どもたちの夢

hinkon1子どもの6人に1人が貧困といわれています。

これは、外国ではなく、我が国の話です。

また、貧困が次の世代にもつながり、貧困の連鎖の問題が指摘されています。

貧困連鎖の特徴としては、所得格差と教育格差が連動している問題が重要なポイントの一つになっているため、この観点から、6月の本会議で質問を行いました。

生活保護世帯の母子世帯での生活保護世代間継承率は4割を超えており、貧困連鎖の特徴と捉えられ、また、母子世帯を含むひとり親家庭の貧困率はおよそ5割と言われているため、全体とひとり親家庭の学習状況の比較から質疑を行いました。

 

通塾率の差

川崎市立小中学校の学習状況調査によると、通塾率は小学校で50%、中学校で65%を超えています。

学習塾以外の学習支援や部活以外でサッカー・野球などのスポーツやバイオリン・ピアノなどの芸術を習得している児童・生徒の数が加わると、学校外で何かしらの「習い事」をしている率はさらに上がります。

「塾に通わせる前に学校でしっかりして」と言う声がありますし、以前、私も小学校5年生の授業での理解度調査の結果から、「よく分かる」と答えられる児童数を増やすべく取り組むべきという質疑をしたことがあります。

しかし、同時に個々の児童・生徒の学習環境の格差が生じないようにすることも必要です。学習塾に行って、学校の補習的内容を望む人がいれば、受験勉強対策を行う人もいますし、学習塾以外で習い事をする機会を広げていくことも大切です。

図表1~3は、平成27年に行われた「川崎市ひとり親家庭生活・就労状況等実態調査」によるものですが、ここで、図表1・2によると、通塾率が学習状況調査の結果より15%以上低いという結果になっています。

また、図表3によると、学習塾だけでなく、学習支援の希望は中学1年生以下から始めてほしいという要望は8割に達しています。

この他に、学習塾以外で、サッカーや野球を始め、部活では少ない競技、例えばフェンシングやスケートなどのスポーツを希望する子どもや、バイオリンやピアノなどの芸術分野を学校外で専門講師に教わりたい子どもに機会を与えられるような事業を進めることが、機会平等につながり、貧困連鎖の対策の一つとなり得ると考えます。

 

大阪市の塾代助成制度を参考に対策を!

6月の本会議で、大阪市で行っている塾代助成制度を参考に、川崎市での対策を進めるべきと提案しました。この制度は、大阪市では、元々、就学援助世帯を対象としたもので、学習塾以外にもスポーツや芸術の習得のためにも使えます。不正使用ができないように月額1万円までのカードになっていて、他の目的には使用できません。

川崎市の生活保護世帯の場合、中学生の学習支援事業が行われていますが、就学援助世帯にはこのような制度はありません。そこで、就学援助世帯の所得層以下の小中学生を対象として、このような塾代等の助成制度を進めるべきと考えます。

 

学費とその他の支度金の課題

大学や専門学校等の高等教育を受けるにあたって、授業料や入学金などが高額であるため、進学をあきらめるというケースが多く、生活困窮世帯の子どもたちや児童養護施設の子どもたちは全体の大学進学率が5割を超えているのに対し、1割程度の進学率しかありません。

大学に進学することがベストかどうかの議論はありますが、高等教育を受ける機会を平等にすべきと考えます。

貸与型の奨学金の多くは利息がかかってくるのと、私立大学の場合だと学費全額がカバーできなかったり、多額の入学金は先に支払わないといけなかったりという事情があります。

 

児童養護施設の子どもたちの特有の課題

児童養護施設の子どもたちは、高校卒業と同時に施設から出ることになります。(ただし、措置延長の子どもはいます)

仮に進学するとすれば、学費以外にも基本的な生活費が必要になるわけですが、これについては、今年度から国が一定の条件を満たせば返還不要の貸付制度を進める方針を示し、各都道府県が中心になって、対応がとられることになりました。

しかし、この制度以前から自治体によってとられている措置は、返還が必要なものや支援の種類は異なるため、自治体間格差もあります。

 

社会体験の機会を増やす!

そもそも「なぜ勉強するか?」という点で、子どもたちの社会体験の機会を増やすべきです。児童養護施設の子どもたちや生活困窮世帯の子どもたちは、接する大人が限られている傾向があります。そこで、社会体験を通じ、様々な大人と接することで、子どもたちが将来を考える視野を広げる可能性を持ちます。昨年、私の事務所で児童養護施設の子どもたちの職業体験を受け入れ、可能性を実感したゆえに、様々な関係機関と連携した社会体験の機会の増加を市に求めています。