川崎らしいコンベンション

先日の市民委員会で、小杉2丁目のコンベンションの計画について、報告がありました。
コンベンション施設は、パシフィコ横浜やお台場の国際展示場、東京国際フォーラム、幕張メッセなど、近隣には多々ありますが、川崎にはなく、川崎での要望があります。
コンベンション施設は、その利用目的や対象に即し、規模、アクセス、宿泊を始めとした周辺施設など、様々な条件を満たすことが成功の鍵になります。
今回の小杉のコンベンションは、市内企業や団体の利用を主とした場合、川崎の副都心の一つといえる小杉に立地するという点については、条件を満たしていると言えます。しかしながら、国際会議もその目的に含まれるという点については疑問が残ります。
国際会議の開催については、数日から1週間単位の長期利用に対応できること、空港からのアクセスがよいことが必要条件に含まれます。しかし、先ほど挙げた、近隣のコンベンション施設に比べ、この両方の条件で秀でているとは言えません。
羽田空港からバスで一本という点、品川駅からJRで一本という点については満たしているものの、他の施設と比べて条件は同等までというところでしょう。そして、宿泊施設という点において、他の施設に比べ、少し劣ってしまうという点が指摘されます。
別の視点で、施設整備費についてですが、民間が建てるマンションの地下1階から地上2階までの部分を提供してもらい、その内側の設備工事を川崎市が行うということになっています。先日の委員会では、最近出来た中原図書館の工事を参考に考えると、6.6億円の工事費用、価格上昇に伴い、それ以上の費用が想定されるとのことでした。この費用の回収はどの程度まで可能なのかが未知数になります。
そして、そもそも市が作る意義があるのかどうかです。運営は指定管理等の民間手法を取り入れるということですが、ならば、民間が自ら作れるように誘致を進める方が得策と考えます。コンベンション施設は中核を担うがゆえに、その地域のまちづくり全体を大局的に考えていく必要があります。
今回のコンベンション施設が、地域に特化したものであるという視点で投資を進めるなら、その方向で進めればよいのですが、国際会議から地域住民の利用まで目的に含まれ、全方位のコンベンション施設を目指すようになっています。どのような目的なのかをもう少し明確にして計画を進めていくことが必要で、今回のコンベンション施設の計画を進めるなら、市内もしくは近隣自治体にある企業や団体、そして地域の利用を主としたものに特化していくべきと考えます。

国際会議を想定したコンベンション施設にするなら、現在の川崎区殿町のKINGSKYFRONT周辺に設置することが理想的と考えます。羽田空港からのアクセスを高めるチャンスがあり、宿泊施設も羽田空港周辺の施設も利用できます。そして、ライフイノベーション総合特区の中核となるKINGSKYFRONTもあり、川崎市が世界の玄関口になれます。さらには、羽田空港国際化に伴い、この立地が国際空港からの移動時間が少なく、エコでコンパクトなコンベンション施設として、世界に発信できます。
この発想こそが、東京オリンピック・パラリンピック招致活動に象徴される視点と同様で、「環境のまち・かわさき」らしい、また我が国らしい観点ではないかと思います。