昨日に引き続き7月3日の調査報告です。
訪問先は石狩市役所。
調査項目は「いしかり市民カレッジ」。
まず、この事業が実施された背景は、石狩市生涯学習講座企画ボランティアの会による「いしかり学びのススメ」と社会教育委員の会議で検討された「学びのスタンプ」制度の二つの流れが合流し、平成20年6月に「いしかり学びをつくる会」が発足。翌平成21年4月、学びを通じて市民の生きがいを高め、まちづくり・人づくりに貢献することを目的に、石狩市教育委員会との協働により「いしかり市民カレッジ」が発足しました。
次に、事業の内容についてですが、カレッジの運営は、市長が学長をつとめていますが、市民ボランティアが主体になっており、サポートが必要な点だけ行政が関わるような形になっています。よく、運営委員会は市民の方ですが、事務局機能を行政が担当するケースがありますが、ここでは市民主体で行われており、あくまで協働という関係で運営されています。
予算規模は年約140万円(公共施設なので施設料無料)で、消耗品・印刷製本費計15万円以外は、年度会費1000円と1回あたりの受講料400円で予算は賄われていることも特徴的です。
講座は大きく分けて三種類あります。
・主催講座
市民カレッジ運営委員会が主体となった講座で、地元いしかりを学ぶことから、自然科学、地域企業、芸術文化等多岐にわたる。講師も北海道大学名誉教授や気象キャスターなど、様々な講師を招聘しています。
・まちの先生企画講座・・・自らが志願して講師をする市民の開設する講座。
・連携講座・・・NPO等地域団体との連携講座。
また、学びのスタンプ制度というのがあり、1講座を受けるごとにスタンプを押され、一定数を超えると修了証を学長(市長)から受けることができるという参加意欲を高める仕掛けもされています。
今回の石狩市の事例では、傾向としてあまり出てこない男性高齢者が講座に参加する割合が高いことと、講師の選定から運営までほとんどが市民による運営委員会で決定しているところが協働の特徴といえます。また、学びのスタンプ制度で目標を高め、学びと健康、そして交流を考えた事業として5周年になっていることは評価できます。が
しかし、運営委員の代替わりの時期に来ており、このような取り組みが今後も続けられるかどうかの継続性は現在の課題になっているようです。
今回の視察で、川崎市の市民参加・市民の生涯学習の取り組みを進める上で、言葉の市民主体になりがちで、実際の市民主体の事業が進むためには、市民で構成される運営委員会と所管行政の関係がしっかり協働という関係になっているかが大きなポイントになるということで、その成功例として参考になりました。