障がい者福祉政策について、河合さんにインタビューした記事です。
パラリンピック水泳金メダリストで全盲初の中学教師ということで、アクティブに活動している印象の強い河合さんですが、15歳で失明し、様々な苦労や経験があり、障がい者の視点でも、政策提案を進められています。先日の対談の中で、河合さんの障がい者政策の一部をお話頂きましたので、掲載致します。
月本 河合さんの政策の中で、障がい者が、政策の策定あるいは決定する過程に参画していくべきというお考えで活動されていますが、実際に政策実現できる立場になった場合のビジョンは?
河合 まず、企業の法定雇用率をきっちり守ろうということです。特に公務員がまず模範を示しましょう。中でも一番進んでいない教育委員会。先生たちが、子どもたちにもっとバリアフリーを学ぼうという教育をしていますが、その教育委員会が障がいのある人たちを受け入れていないことが、数字としても明らかになっています。単純に多くの(障がいのある)人たちが働いて、安定的に賃金が出ていけば、福祉予算も削れると思います。稼げる働ける社会環境をどう作るかが大切です。この法定雇用率を守らない企業はどうかというと、月々5万円を納めれば済んでいる。一人雇うと10万円以上かかると考えると、5万円で済むならそれでいいと企業は考えてしまう現状があり、経済界の要請が非常に強いわけですが、これではいけないので、環境整備をしっかり進めて行きたい。障がい者と一緒に働くことによって、理解が深まります。
月本 河合さんは15歳まで目が見えて、その後高校に入って失明してから点字を学ばれたということを河合さんの半生を描いた映画「夢追いかけて」で拝見しました。健常者と呼ばれる人も、いずれ目が見えなくなる可能性があり、点字の文化や点字を理解できる人材を養成することが必要と思いますが、政策的な課題と改善すべき点は?
河合 川崎市にも点字図書館がありますが、その製作物を支えているのはボランティアの人たちです。紙代の予算はついていると思いますが、その作成者のほうにはほとんどついていないと思います。本の朗読をして視覚障がいの方に提供する朗読テープ、点字にした本を提供するサービスは、ボランティアによって支えられてきた仕組みが我が国だったと聞いているし、状況は変わっていないと思います。私が大学時代に英語やドイツ語を勉強していましたが、その教科書も大学内にあるサークルの先輩・同級生・後輩が作ってくれて、勉強していました。まさにボランティア活動で、大変な中で協力してもらいました。でも海外の例を聞くと変わってきている状況で、電子出版の流れの中で様々なテキストデータで提供されるようになったり、月本さんとメールでやりとりしてますが、私もメールを打ったりネットで検索もしますし、メールを音声で読み上げてくれるようになっている時代になっているので、いろんな情報提供の形もありますが、点字は昔からの文化でもあるので、守っていきたいと思います。