静岡市待機児童園

taiki昨年から進めていく教育・子育てに関する勉強会の有志議員で静岡市待機児童園おひさまを視察。
待機児童園は、その名の通り、認可保育所に入所できなかった児童が入所する保育施設です。
静岡市は3つの行政区で形成されており、今回訪問した駿河区は平成22年10月、清水区は平成25年10月、葵区は平成26年10月に設置されました。
入所対象としては、待機児童になっている世帯のうち、両親ともにフルタイムで就労している世帯で、2カ所以上の認可保育所に入所申込みをしている0から2歳児になっています。
4月から翌年の3月の間に入所児童数が大きく変動するのは特徴的で、新年度を迎える直前の3月が最も多くなっています。
これは、誕生月によって、産休や育休の関係で10月1日時点での待機児童が多くなる状況は川崎市と同様の課題ですが、そういった世帯にも対応ができるという点があります。
川崎市と保育環境で大きく異なるのは、ほとんどの児童が翌年度の始まる4月には認可保育所に入所できるという状況です。
それは、川崎市と違って、すでに静岡市の人口が減少傾向にあるという背景があります。
昨年度に運営されていた二つの園の運営経費をみると、それぞれ年間およそ1億円で、内訳のほとんどが人件費になっているとのことです。
また、保育料は認可保育所並になっているため、多くが市の一般財源から運営されています。
静岡市の保育需要からすると、待機児童園は5から10年以内の設置期間で施設の役割を終えるという予測から、新設した園舎はプレハブ構造になっています。しかし、園内を視察すると、調理室を始め、各年齢に応じた保育室が整備されており、待機児童園といった施設目的を除けば一般的な保育所と同じ環境になっています。
しかし、来年度から始まる子ども子育て支援新制度に向けては課題があります。新制度に記されている保育施設に該当する項目が明確になく、小規模保育事業のように0から2歳児限定である点や、長期の一時預かりという点などの解釈を考えていく必要があるということで、来春に向けた制度整備が検討されています。
川崎市では現状、このような施設はありませんが、あったとしても翌春に認可保育所に入れるとは限らない状況と、すぐに定員になってしまうことが予測されます。
ここで、川崎市は0から2歳児を対象とする小規模保育事業や家庭的保育事業などで対応する必要があり、新制度でこの点での待機児童対策が期待されます。
ただし、待機児童数は、これまでの自治体独自での算出方法から、全国一律へと移行するため、数字上での変動が見込まれます。
この算出方法の統一は現在の待機児童だけでなく、潜在的待機児童への対応の可能性もありますが、周辺都市の状況と同じ条件になるため比較が可能になります。
また、今後は4月1日だけでなく10月1日の待機児童対策に目を向けることも必要で、この点において、待機児童園の運営は参考になります。

どうしても待機児童数という受け入れ体制という点ばかりが注目されてしまいがちですが、幼少期でどのような環境で過ごし、保育を受けて行くかが子どもたちにとって重要です。
家庭で、地域で、社会全体で子育てを行っていく中で、保育所整備だけでなく、社会環境全般的な変化が求められます。
子育てに関する適切な情報を提供することや、以前に議会で提案した子育て世帯への給付付き税額控除等の実効的政策の導入、企業の理解が不可欠です。
子育て世帯の育児休業に合わせ、中高年世帯に多い介護休暇等を推進することが求められます。
これは世帯を限定せず社会全体で考えることが大切で、育ボスという言葉がありますが、上司が介護休暇を取得することで育児休業を取りやすくするということも進められています。
しかし、私は中小企業出身ですので、中小企業ではなかなか厳しい実情もあり、それぞれの就労環境をもとに、できる限り希望する子育てのスタイルに対応できるような政策を進めていく必要があります。
子育て世帯に限定した給付付き税額控除はその実効的手法の一つであると私は考えます。