子どもたちに必要な教育

 

 

 

kyoiku

未来を生きる子どもたちに必要なスキル
3月の予算議会において、教育分野で意外と触れられていない基本的な重要事項について質問しました。
それは、教育現場におけるICT(情報通信技術)の活用状況です。
そもそも、情報通信技術の進展は目覚ましく、つい30年前は、パソコンを使って仕事をすることが一般的ではなく、小学校の授業の中でOHP(オーバー・ヘッド・プロジェクタ)が使われると、ワクワクしたのが30代の我々の世代です。
しかし、現代では、働く現場で、パソコンを始めとしたICT機器を使うことは必須で、使えるだけでなく、活用し、その先に何をするかが求められているわけです。
このような視点から、親等の保護者が、「教育現場でのICT活用に何を期待するか」と言えば、ICTのスキルの向上というより、ICTを活用した「コミュニケーション能力(互いを知り合う力)」や、「プレゼンテーション能力(伝える力)」の向上が求められています。
すなわち、未来を生きる子どもたちにとって、社会に出る際に、必要になる力を身に着けるため、ICTを活用した教育の推進が、これまで以上に重要になり、その度合いも日進月歩で増していきます。

 

川崎市におけるICTモデル事業
麻生区の南百合丘小学校では、平成23年度から3年間、5年生を対象に「NTT教育スクウェア×ICTフィールドトライアル」への参加が行われ、タブレット端末を導入したモデル事業が行われました。
私も算数の授業を視察しましたが、立体を様々な角度から捉えることができるというICTの長所を体感しました。また、児童個人だけなく、ペアやグループでの協働学習において、児童同士で異なる考えの共有や議論が可能になることも利点として考えられ、タブレット端末で学習の幅が広がる可能性があります。
これは、先ほどのプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を高めるツールとしてのICT活用の一例と言えます。

 

教育におけるICTの課題は?
川崎市は、タブレット端末の市立小中学校全校に整備を進めているところですが、ここで課題があります。
川崎市は、教育現場におけるICTのハードの整備率としては多くの点で全国平均を上回っていますが、教育現場での活用面では全国平均を下回っている項目が散見し、課題が存在します。
が川崎市の教員の経験年数で占める割合を見ると、経験年数5年以下の教員と20年以上のベテラン教員の割合が高く、中堅層の教員が少ないという特徴があります。
若い教員は、授業準備にICT機器を使用したり、ソフトウェアの活用を進めたり、事務処理に活用することは積極的です。
では、経験年数が高い教員が消極的かというと、ICTに関する教員研修は、様々な種類があり、どの教員も一人あたり、平均すると年に1回は何らかの研修を受けていることになります。
しかし、研修を通じ、ICTの中身や教材についてのスキルが向上しても、授業準備に時間がかかることから、ICTを活用するかどうかは教員によって格差が生じてしまいます。
教員のアンケート調査でもICT支援員の各校配置が求められているという結果が出ています。
この点を会社に例えてみると、課長が客先でプレゼンを行う上で、資料を課のメンバーで作成するということは日常にあることと思います。すべてが会社と同じわけではありませんが、教員の事務的なICT支援を行う人材が必要になっていることは、当然のことです。
と、教育現場でのICT活用支援は、会社で例えたように、専門家の登用やチームでの支援体制が必要な課題になっています。

 

劇的な改変を見せるよりも効果的な改革を
教育における課題を解決する手段として、何が適切で効果的なのか?を考えるべきです。
現市長は、習熟度別クラスや地域の寺子屋事業など、新しい枠組みを作る、いわば「劇的な改変に映る」キャッチフレーズ型の施策を進めようとしています。
しかし、人口急増地区と人口減少地区が共存する川崎市で、子どもたちが生きる力をもって成長できる教育環境を整備する上で、制度がコロコロ変わったり、目的なく新事業を導入したりすることが、果たして課題の解決につながるのでしょうか?
国際化や情報化社会の進展に伴い、川崎の子どもたちが大人になる頃には、世界の中の川崎市と呼ばれる時代になっています。
そんな未来を、いまの子どもたち、これからの子どもたちが生き抜く力を養うのが教育です。
教育に対し、評論的な議論で手法を考えるのではなく、本質的な課題の解決策の一つとして、ICT活用の教育環境整備を進めるべきです。
今回の予算審査特別委員会では、川崎市としてもICT活用の重要性の理解を示した答弁があり、今後に注視して参ります。