国産木材利用に向けた現場視察vol.5~生産地の現場~

IMG_05337月12日の視察行程は次のとおりで、北海道森林組合連合会北見営業所様にコーディネートして頂き、生の現場視察を行うことが出来ました。

・8:30~9:00 北海道森林組合連合会北見営業所にて一日の概要説明

・9:30~10:00 北見広域森林組合本部にて午前中の概要説明

・10:20~10:40 北見広域森林組合伐採現場視察

・11:00~12:00 北見広域森林組合北見工場(製材工場)

・13:00~15:00 協同組合オホーツクウッドピア(集成材工場)

 

伐採現場

視察した伐採現場は、重機を活用し、わずか2名で伐採を進めていました。伐採時に伐採後の植林を考慮して伐採を行っているとのことで、斜面地を効率的に動くよりも、環境を優先した上での効率性を考え、重機の経路を確定しているとのことで、現場で森林を大切しているということを実感した瞬間でもありました。

 

製材工場

製材工場は、伐採された原木を立方体の柱に加工する工場です。この工場では、木材の材質やそれぞれの原木の特徴をコンピューターで計測し、自動で切断していますので、人の手は出荷とコンピューター管理のみになっています。製材時に出たチップやおがくずは、一部は工場内のバイオマス発電に利用し、残りは外部に販売しています。また、リングバーカーから出て来る副産物(バーク)は、近隣にある農場の牛舎に敷くために販売しているとのことで、北海道ならではの特徴と言えます。そのため、工場から出る廃棄物は、原木についてきた一部の釘や金属片が混じっていた場合程度で、原木はすべて何かしらの形で供給されるようになっています。

 

集成材・CLT(クロス・ラミネート・ティンバー)の工場視察

集成材とは、複数の木をつなぎ合わせた強度のある材料で、CLTは集成材の板をクロスで交互に張り付けた材料で、より強度の強いものになります。

協同組合オホーツクウッドピア様の集成材工場を視察しましたが、現在、カラマツ材におけるCLTの研究を進めており、北海道知事をはじめ、3年で1300名という多くの視察団が訪れている注目の企業です。

カラマツ材のCLTづくりには、カラマツ特有の曲がりやすさやヤニ対策で乾燥の手法が鍵となり、初日児訪れた林産試験場と共同で研究しているとのことでした。しかし、カラマツの味のある色彩を材料に出来るものの、コストが高く高級資材になっています。

そもそも、CLTは、ヨーロッパが主流で、プレハブ式で高層建築も進めていますが、我が国はプレカット工法が主流であるため、CLTの流通量が今後どのように増えていくかが不明です。但し、プレカットと異なり、切断方法に技術を要するわけではないため、今後の展開によっては広まる可能性はあります。

 

視察の結果

〇伐採現場・製材工場等の観点から

北海道内の木材自給率は25%程度ということで、道産木材を道内で消費しているものの、道外から入ってくる方が圧倒的に多いという実情があります。その背景には、木材の種類と用途がまだまだ研究途上にあり、国産材は良質で高級なものを追求していく方向にあると考えます。

また、北海道の主流は、伐採から製材までを一手に森林組合で請け負う形であるため、比較的効率のよい運営がなされているのが特徴と言えます。

さらに、生産地ゆえに木育だけでなく、木材を利用した公営住宅や教育機関だけでなく、燃えやすいという特性を改良した素材を活用し、消防署が建設されています。

〇集成材・CLTについて

・木材は原木で移出することは少なく、製材や集成材として様々な加工を重ねていくことが付加価値を高める機会になります。様々な素材の強みと活かし、弱みをカバーする技術の研究が進められていますが、その一つが集成材で、我が国では主流ではなかったCLTが今後どのように普及していくかが注目されます。

・川崎市も国産木材利用促進を進めていく上で、北海道のような大生産地と共同で研究を進めて行けると、ただただ国産材を使うということではなく、特性や強みを活かし、今後の木材の安定供給につながるのではないかと考えられます。