命の大切さと将来設計

inochi旭川市の「私の未来プロジェクト事業」を視察調査に訪れました。

これまで主権者教育とキャリア教育の関係で、様々な調査を行って来ましたが、旭川市の取組は興味深い点があります。

 

旭川市のこの事業に至る背景として、人工妊娠中絶の割合が全国平均より高いということで、大きな問題になっているということです。

親になる段階での両親学級で親教育を進めて行ったり、学校における性教育を進めたり、ということはありましたが、それより以前の段階として、小中学校段階から命の大切さを学ぶということです。

 

事業の内容

小学生では、助産師による講話で、生きる強さをもって生まれて来たことや、胎児の成長、プライベートゾーンについて学び、胎児人形や新生児人形を使った体験が行われます。

中学生では、助産師による講話で、小学校時代に加え、子どもの成長に必要なことについても学びます。親子ボランティアに参加してもらい、中学生が実際に赤ちゃんを抱いたり、お母さんにインタビューしたりと、ふれあい体験が行われます。子育ての大変さだけでなく、素晴らしさも実感する機会になっています。

高校生では保健師や大学生スタッフによる講話とロールプレイングが行われています。性について、人工妊娠中絶について、子育てについて、不妊についてを学びます。そして、高校生は近い将来社会にでるわけなので、ライフプランニングも考えてみる機会になっているとのことです。

 

事業の効果

「将来こどもを持ちたい」と思う児童生徒の割合は事業実施後に上がったり、「自分のことが好きか?」、「自分がかけがえのない存在だと思うか?」というアンケート結果も上がったり、取り組みの成果が出ています。

 

また、「子どもを育てるのが大変」と言われ過ぎ、子どもたちにとって悪い想いをさせてしまっているような気がします。

この事業の効果としては、子どもたちが「自分が大切にされている」ということを自覚したアンケート結果も示されています。

 

一方、事業の課題としては、効果検証が子どもたちの成長をみて10年先になってしまうことが挙げられています。

確かにこの事業の効果は他のライフステージに関わる教育と同様に時間がかかるといえます。

 

なりたい大人になる

どんな大人になりたいか?

どんな親になりたいか?

どんな職業につきたいか?

子どもたちが、いろいろな想いをもって成長していきます。

その際に、先入観で可能性を排除したり、あきらめたりということがあってはいけません。

そこで、命の大切さ、自分がかけがえのない存在であることを自覚し、自分を大切に、夢のある人生を設計していくためにも、この事業は推進されるべきです。