コロナ禍からセーフティネットの見直しを!

我が国では、憲法第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という根拠のもと、生活保護制度が存在します。

不正受給問題で自治体が対策を講じるものの、高齢者の生活保護が増加傾向にあるため、生活保護扶助費は増加し続けています。また、コロナ禍において、生活不安のご相談が増えています。

現在、生活保護のイメージについての議論がありますが、制度そのものの見直しが必要で、仮にイメージが好転したとしても、生活保護が増加するだけの話です。

コロナ禍で、生活保護相談件数が伸び始めたのは、昨年の秋以降で、生活困窮の波はどんどん押し寄せています。

生活保護法の第九条では、「保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。」とされています。

この「有効且つ適切」には、当然生活保護は恒久的なものではなく、対象者によっては一時的なものであり、通常の生活に復帰することを意味しています。

しかしながら、一度生活保護受給者になってしまうと、自立してもすぐに生活保護受給者へと繰り返す人も多くいます。

その一つの要因としては、生活保護になると、これまで掛けていた生命保険は解約しなければいけません。

生活保護で生命保険が解約に

生命保険の解約で3つの問題が生じます。

1つは、解約した後に戻って来る返戻金が多額だった場合、資産があるため、生活保護の対象ではなくなるということです。つまり、生活保護にならないため、病気になったら、民間の生命保険を解約しているため、公的保険を超えたサービスは受けられないという問題が生じます。

2つ目に、生活保護から自立したとしても、過去に掛けていた分がリセットされるため、生命保険の保険料が高額になり、受給時の支給金額が下がることで、将来的に生活保護になるリスクは高まります。

3つ目に、生命保険の解約により、生命保険で運用されているお金が減額されてしまうということで、お金の廻りを妨げてしまうということです。生活保護が増えると、保険会社の経営を圧迫し、外交員が職を失う恐れが生じてしまいます。保険会社の経営が圧迫されると、運用されるお金が少なくなり、経済にとってマイナスになります。

セーフティネットの見直し検討を!

これらの問題を解決しいてくためにも、生活保護にならないようにする一時給付や一部の給付が必要です。

現在ある制度を参考に、制度構築をしていく必要があります。

その一例としては就学支援制度があります。これは、世帯の子どもの数と世帯所得から対象者が決まり、就学支援を行うもので、給食費や修学旅行費等の明確な目的のある支援制度です。

また、児童手当や児童扶養手当に代表されるような子育て世帯の支援制度や住宅確保給付金で家賃支援を行っている例もあります。

しかしながら、現在の制度では対応できない方々もいますし、多子世帯の負担は大きくなっています。

高齢者の生活保護が増加する中、生活保護制度そのものについて今後の検討を進めるべきですが、生活保護と自立を繰り返すようなことを防止できるよう、緊急的には生活保護の手前のセーフティーネットづくりが必要です。

同時に、民間保険の保険料控除を拡大し、自身でライフプランを考えていく機会を広げていくことは、単に将来不安を煽る昨今の問題の解決にもつながります。