出資法人の不思議な評価指標

本日の環境委員会では、上下水道局と港湾局の来週から始まる決算議会の提出予定議案の説明に加え、川崎臨港倉庫株式会社、かわさきファズ株式会社の2社の川崎市の出資法人の令和4年度の経営状況に関する報告がありました。

12年前、議員になった当初のかわさきファズと言えば、赤字で厳しいというイメージでしたが、今では株主配当が出せるほどの黒字に。

12年前の新議員研修で行ったかわさきファズは、川崎港にある物流拠点。麻生区にいると関係ないと思いきや、柿生の某スーパー行のレーンがあり、川崎港が生活に密接に関わっていることを実感しました。
それでも赤字の出資法人と言う厳しい状況がしばらく続いていましたが、経営が改善されています。

経営状況の報告には様々な評価指標があるのですが、ある指標の評価を見て、首を傾げました。

有利子負債比率(有利子負債/純資産)が、目標137.1%を微妙に下回った139.2%。

これを見ると、借金を約定通りに返済できなかったか、新たに借金をしたのかという錯覚になりますが、もちろん、この報告にその理由が記されています。

理由は、借金は約定通り返済しているが、令和3年度の黒字により株主配当が出せたため、純資産が減少したことから、有利子負債比率の分母が減少したためということです。

ふむふむ、なるほど、だから有利子負債比率が目標を下回ったのはわかります。

一方、これらの指標ごとに、目標達成の度合いについてA~Eまでの評価がつけられます。

A 目標を達成した

B ほぼ目標を達成した

C 目標未達成のものもあるが一定の成果があった

D 現状を下回るものが多くあった

E 現状を大幅に下回った

経営健全化に向けた取り組みの大きな評価指標は2つ。

ひとつが、有利子負債比率で、もう一つは「経常利益の額」です。

経常利益の額が、目標値915,000千円に対し、実績値は1,027,503千円と目標を大きく達成していますので、これは評価「A」。

そして、有利子負債比率は評価「B」。

株主配当が出ていなかった時期から改善されて、株主配当を出したために、「ほぼ目標達成」という2ランク目になっています。

この実施計画4年間の令和4年度は初年度ということで、コロナ禍で作った計画だから、配当が出るまでにならないと思いながら設定されたものと推察されます。

ただし、4年間の1年目なので、令和4年度も同額の配当が出される予定ですので、次の年度の評価もまた「B」になってしまう可能性があります。

総合的に考えて、目標以上に達成したという点では「A」になるのでしょうが、そうならない評価の形なので、評価手法の見直しや他の評価項目の導入などの検討を港湾局に求めました。

参考までに、今日の川崎市議会環境委員会のかわさきファズの経営状況に関する資料です。
https://www.city.kawasaki.jp/980/cmsfiles/contents/0000151/151287/20230831-2(2)-1.pdf