安倍晋三元総理の国葬

7月8日、元内閣総理大臣安倍晋三衆議院議員が暗殺されました。銃撃されたというニュースを聞き、ただただ快復を祈っていましたが、願いが叶わず、ご逝去されました。

安倍晋三さんという一人の政治家を失ったという悲しい気持ちと、殺人という罪への憎しみを抱くとともに、突然命を奪われた家族のお気持ちははかり知れず、亡くなられてから二か月半以上に及び、様々なニュースに憤りを覚えました。

敢えて、静かに見守りたいと思い、国葬が終わるまで、この件についての私の意見は控えて来ました。

9月27日、安倍総理の国葬儀が執り行われました。

国葬の賛否については様々な議論がありましたが、単に賛成・反対と言う話ではなく、その賛否の理由を一括りにして、「反対が6割」というメッセージつながったと考えます。

国葬の賛否について、次の3つポイントからの賛否があったと思います。

1、国民の国葬自体の賛否

国民でも吉田茂氏の国葬があったので、国民の国葬を可とする考え方に対し、我が国は天皇制であるため、天皇が崩御された際の大喪の礼が事実上の国葬であるため、国民の国葬はすべきでないという考え方。

2、ルールのない国葬への手続き論の賛否。

 国民の国葬についてのルールが存在しないため、ルールをつくってから国葬を実施すべきという考え方。あるいは、ルールができない中で特別な事情で国葬を実施する場合は、国権の最高機関たる国会に諮るべきと言う考え方。

3、安倍晋三氏の国葬の賛否

 安倍晋三氏の政治家としての実績に基づいて、国葬を実施すべき、あるいは実施しないべきという考え方。

この①~③の議論で、それぞれの観点で賛否はあります。

「アベ国葬反対」というプラカードを持っていたのは、③の「否」の人ですが、①~③の「否」を一括りにしています。

 私の場合は党派に属していないため、この国葬の件について、率直に様々な御意見を頂きました。

 この中で、冷静に多かった意見が、「安倍さんは国葬にすべきだが、今回の国葬のやり方には反対」というものでした。

 私は岸田首相が国葬を検討するにあたり、国会に諮るべきだったと思います。法治国家であり、前例等ではかれないような案件で、行政判断だけですべきでないような事象はやはり国会に諮るべきでした。 

 この手続きを怠ったことが、「アベ国葬反対」と運動する人たちの後押しをしたとも言えます。

 政治家ですので、功罪それぞれあると思います。

 そして、政治家は、今の評価ではなく、将来、歴史で評価されるものです。ただ、7年以上に渡り、内閣総理大臣を務めたということは、幾度の国政選挙で支持を受けたということで、少なくとも在任中の国民からの支持を受けて来た人であると思います。

 「だから、特例で国葬だ」という意見を反映させるなら、やはり手続きをしっかりすべきだったと思います。

 

 しかし、葬儀にあたり、暗殺により命を奪われた人の名前を書いて、誹謗中傷する人たちがいたこと、葬儀への招待状に欠席を書いて出すことを誇らしげにSNSに上げるような政治家がいたことは、まことに残念です。

 政治家は法治国家である以上、ルールに則った運用を行い、ルールがなければ作り、それを見直すのが役割。

 そして、法治国家である以上、いかなる理由があっても法律よってしか人は裁かれず、人が人を裁いてはいけません。

 冷静に法治国家であるということを、改めて考える必要があります。

 私は安倍晋三さんに会ったことはありません。政治家としてタカ派のイメージが強い方ですが、ご存命中から聞くところでは、周囲によく気を遣い、明るく優しい人だったようです。

 どうぞ安らかに天国から日本国をお見守り頂ければと思います。