今回は、平成23年度決算審査ということで、川崎市の保育事業費について、質問しました。
川崎市は、保育需要が急激に高まり、待機児童数が日本でワースト2の自治体になったのも記憶に新しいところです。
他方で、川崎市は保育計画の見直しをはかり、保育需要に応えるべく、毎年1000人規模の入所児童数増加を進めていますが、それ以上に、保育所入所申請者数が増加しているため、なかなか、待機児童解消に至っていないという事情があります。
特に、近年、経済的事情により、保育ニーズが高まり、親が家で育てる、いわゆる在宅児童の数が減少していることが、その大きな原因の一つになっています。
川崎市の保育制度は複雑で、180園ある認可保育所を始め、市による認可外保育事業として、認定保育園、家庭保育福祉員、おなかま保育室、かわさき保育室があります。
今年の4月1日現在の待機児童数が615名と、昨年度以降、減少傾向にあるものの、大きくなっています。
待機児童数の算出方法は、保育所入所申請者数から、認可保育所の児童数と市による認可外保育事業で保育を受ける児童数(認可に入所を希望していた児童数)を差し引いたものになっています。したがって、本当は認可保育所に入りたいけど、入れずに認可外保育事業で保育を受ける児童数は、待機児童に含まれていないことになります。
また、地域偏差もあり、私の住む栗平駅前には保育所がない状況になっていることも課題です。
今回の決算では、平成22年に行われた包括外部監査で平成21.年度決算内容で指摘された、認可保育所でも公営保育所と民営保育所では、運営経費に対する市の負担額が異なるということです。
保育料は、世帯所得に応じて変わりますが、公営も民営も同じ算出方法でありながら、市の負担率が異なる要因の一つとして、民営には国庫補助が出ることが挙げられます。そして、公営には国庫補助が出ないということですが、それを差し引いても、平成23年度は、公営は民営に比べ、1.4倍の負担がかかっていることになります。
その要因は、保育士の人件費ということで、公営の場合、平均勤続年数が高いことから、人件費も高くなっているということが挙げられます。
現在、公営保育所の老朽化に伴う建て替え民営化で、民間譲渡や指定管理者などの民営化を徐々に進めていますが、職員の退職動向を主に考えた民営化になっています。
議会での答弁を聞く限り、「保育の質を低下させないために、民営化は退職動向にあわせて」という行政の見解です。
市が判断する施設の老朽化に伴う建て替え民営化だけではなく、積極的な民営化を進めることにより、保育ニーズへの対応はきめ細かいものになります。
例えば、川崎市は、都内で働く世帯が多いため、延長保育も長時間になることも多々あり、このニーズに応えている施設は民間の方が多いため、保育サービスの点でも民間の方が優位です。
運営費に市税の投入を軽減できて、保育サービスがよくなるわけですから、民営化が待機児童解消への近道であると考えます。
保育という分野へのニーズは高く、人材も必要です。
現在の退職動向に合わせた建て替え民営化のタイミングを考えるのではなく、人も踏まえ、施設ごとの民営化も検討すべきと考えます。
そして、もっとも重要な保育の質についてです。
ベテランが多い保育所だから公営の方が、保育の質が高いのでしょうか?
保育の質については、就学前が、子どもたちのその後の人生に大きく影響を与える大切な時期で、小学生以降の成長を見ながら、保育内容を検証していくことが必要です。
保育所は、こども本部で、小中学校は、教育委員会の管轄。
今回の決算の質問では最後に、幼小連携事業と言うものを進めているということなので、ただ子どもたちを交流させたり、小学校に進学したときの準備をしたりということだけでなく、その後の成長を見て、保育内容の質を高められるよう、教育面での連携を要望しました。