川崎市の一般会計の歳出のうち、1割を超えてしまった生活保護扶助費。
生活保護世帯数は、平成19年の17394世帯から、平成26年1月で24145世帯へとおよそ1.39倍に伸びています。
生活保護には、高齢者、母子、障害、傷病、その他の分類があり、高齢者の保護率が最も大きく、43.9%の10600世帯を占めています。
高齢者保護率の課題として、国民年金制度が大きなテーマの一つになっています。
退職後に持ち家で家賃がかからない前提で組まれている制度なので、1ヶ月に7万円弱の年金生活になります。
しかし、家賃と光熱水費を支払うだけでほとんど消えてしまうのが、現状。
病院にかかれば、医療費も出るし、食費もかかります。
また、我々の世代のように基礎年金番号があって、転職しても年金が継続される時代以前の、いわゆる年金問題に代表されるように、転職した際に継続の手続きをしていない世帯が多く存在します。
年金を受給できる資格があるのに、年金を受給していない世帯があるため、川崎市でもその資格対策を進めています。
国税で負担しているものと県税や市税で負担しているものがそれぞれ分かれるわけですが、生活保護扶助費の割合に対し、国民年金の市税負担割合は少ないのです。
年金はそもそも現在年金を納付者のお金から半分出ているわけですが・・・。
結局税金なのに、市からでも国からでも一緒でしょ?
という話があるのですが、みなさんの税金の大半が国税です。
ゆえに、破綻寸前だった川崎市が、阿部前市政での改革により、財政力指数政令指定都市ナンバー1であっても、家計は苦しい状況に変わりないのです。
障害者世帯でも年金は同様の問題があり、障害基礎年金の受給資格がありながら、受給していない世帯があり、これも川崎市が対策を進めています。
また、若者の就労問題やニート問題が出ていますが、これはその他世帯に分類され、平成19年では、14.2%の2479世帯だったのに対し、平成26年1月には5167世帯、実に21.4%を占めるに至っています。
課題ばかり羅列していますが、ではどうすべきか?
・川崎市では、昨今話題になっている不正受給対策で効果が出て来ていますが、今後もしっかり対策を進めていく必要があります。
・議会でも議論されていますが、医療費扶助対策です。生活保護扶助費のジェネリック医薬品の普及率はわずか2割程度の現状で、積極的な普及を進めるべきです。
・先ほど述べた、国民年金や障害年金の調査・確認作業を進めること。これも現在行われています。
・生活保護受給のその他世帯の割合増が問題になっていますが、受給していない引きこもりやニート対策を進めることも大切で、明日は浜松市パーソナルサポートセンターを視察し、実際のNPOの取り組みを調査します。
若者の就労対策についてですが、就労支援をいかに進めても、その後、自立し、継続的に就労できているかをチェックすることが大切です。
生活保護受給者から、一時的に外れても、また生活保護に戻る受給者の割合が高いのも特徴です。
高齢者については、国民年金制度の問題が大きく影響しているため、継続的な自立は難しく、医薬品のような支出減を進める対策になります。
しかし、若者は自立後に支援が必要な状態に戻ってしまうケースがあり、この負のサイクルにならないような取り組みが必要です。
先進事例を研究し、より具体的で効果的な対策を提案して行きたいと思います。