浜松市パーソナル・サポート・センター

 

 

hamama昨日、浜松市パーソナル・サポート・センターを視察しました。
生活保護世帯の数が少ないと言われる浜松市でも、平成20年のリーマンショック以降、現在に至るまで、生活保護世帯数が急増。平成21年6月には有効求人倍率が0.3まで落ち込んだことが、このセンター開設の背景になりました。

ただ仕事を斡旋するとか、相談会を開くなどということはどこの自治体でも行われていますが、この事業の特徴は様々です。

・関係機関との連携・・・これはどこでも「理念的」に言われるものですが、この事業では、保護司、民生委員、児童委員、連合自治会、商工会との連携が具体的に特に広報を中心に進められている。
・サポーター企業の協力により、就労体験ができる。
・市域が日本で3番目に広い(指定都市では1番)ため出張相談会の開催やサポーターの訪問により相談から対応を行っている。
・求職者それぞれの傾向により、いくつかのパターンを設定し、個別に伴走型の支援を行っている。

ここで特徴的なのは、若者限定ではなく、すべての求職者に対応しているということです。幅広い世代、様々なカテゴリやバックボーンを持つ人がいて、例えば50代で仕事を探している人への対応も進めています。
生活保護にならないよう、仕事を持って、自立ができる状態を続けられるように支援することで、一定の効果が見られているとのことです。

伴走型という表現がありますが、就労支援というと、社会人になるためのトレーニングをしてから就職させるものが多いわけですが、即就職させ、その後、続けて行けるように支援をしていくということです。これは、IPSモデル(Individual Placement and Support)という個別就労支援方式で、実証研究として、トレーニングしてから就職するよりも、就職後の支援を継続的に進めることにより、効果を見出しているとのことで、この方式を活用しています。
就職活動そのものの支援や就労体験を必要とする人にも対応し、それぞれの人にあった形でサポートしています。

そして、一風変わった施策を進めている2つのポイントがあります。

まず、潜在求人を開拓していること。
数か月前の求人に直接アプローチすると、実は求人しているというケースがあり、仮にこの企業に応募すると競争率が低く面接の可能性が高いということになります。
私も中小企業に勤めていたのでその感覚がわかるのですが、ハローワークや一般誌に求人を出して、就職した人がすぐに辞めてしまうケースがあります。特に中小企業でしたら、一般誌への広告費も嵩みますから、すぐに辞めちゃうなら、今の人数で当面はいこうという判断になります。しかし、潜在的には人手不足ということがありました。
ゆえに、鋭い視点だと感心しました。

もう一つは、部局連携です。今回視察した施設は経済部門の所管になりますが、障がい者や生活保護の関係を取り扱う民生部門との連携策のひとつとして、3つの部局にまたがる事業の場合、1年交代で各部局の予算を取って、連携して執行していくとのことでした。いわゆる縦割りの弊害を予算面から変えて行くという試みがとられていました。

と、また長文になってしまいましたが、もう少しお付き合いください。

ここで川崎市の現状からすると気になったのは、この事業により、民生委員・児童委員に負担が増えることです。そもそも川崎市では欠員がいて、それぞれの委員の負担が非常に大きいという問題がで、「なり手」がいないという課題がありますが、浜松市では課題になっていないとのこと。人口も違えば、持ち家比率も違うため、民生委員一人当たりが対応する対象者数が違うので、絶対的な負担は異なることを改めて感じました。

【参考:浜松市パーソナル・サポート・センターhttp://www.hamapss.com/