子どもたちのマスク着用についてvol.2就学前・地域編

子どもたちのマスク着用についての質問後編は、就学前・地域編です。

就学前については、公立保育所、民間保育所、私立幼稚園等、所管や対応方法が異なり、公立保育所は直接運営していますが、民間保育所には運営法人へ、私立幼稚園は所管の神奈川県との連携になるという複雑な行政事情を踏まえた質問。

地域としては、子どもの遊び場にあたる公園や麻生川沿いのような河川管理用通路、市民全体への啓発についてです。

行政は規制するのは得意ですが、緩和を啓発するのは苦手です。

このあたりについて、具体的に迫ってみました。

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質問5(保育所・幼稚園等におけるマスク着用について)

 就学前児童はマスク着用が不要になっているが、マスク着用している保育中の就学前児童を見かける。公立保育所の対応、民間保育所や幼稚園への周知徹底をどのようにかんがえていくか?

答弁5(こども未来局長)

 公立保育所は5月20日の厚生労働省通知に基づき、着用を一律に求めないが、感染者が生じた場合は、施設管理者の判断により、可能な範囲で着用を求める。

 民間保育所等には、国の通知の写しの送付や必要なマニュアル等に反映させ周知している。今後も迅速かつ正確に情報提供を行っていく。

 幼稚園については、県知事の指導権限であるため、県から各幼稚園に周知している。

質問6(子どもの遊び場や散歩場所での啓発)

 公園で遊ぶ子どもたちはマスクを着用している。5月初旬までは、麻生川の河川管理用通路に「ランニング時にマスク着用してください」という掲示があったが、熱中症予防のために陳情し撤去してもらった。公園や河川管理用通路にマスク着用に関しての国等の資料の掲示を積極的に進めて行くべきでは?

答弁6(建設緑政局長)

 こどもの外遊びにおけるマスク着用について、今後の掲示は、国から示された考え方や地域の要望、施設の利用状況等も踏まえ、関係局と調整し、適切に判断したい。

質問7(市民全体への周知について)

 マスクによる子どもたちの対立を生んだのは大人の考え方の違い。施設ごとで対応が分かれているマスク着用問題は、市民への周知に課題がある。マスクをしていない子どもに注意する大人の理解不足が存在する。大人の理解を深めていくためには、これまでの敬は海栗加え、国の出している熱中症予防の啓発媒体を公共施設に来朝者に見えるように設置するなど、これまで以上の広報を進めて行くべきでは?

答弁7(健康福祉局長)

 これまでは市のホームページ・SNSでの掲載・周知を行って来た。今後は加えて、関係局区と連携し、区役所等のデジタルサイネージなどを活用し、一層の普及に取り組んで行きたい。

【解説】

質問5の保育所や幼稚園は、公立か民間では、市が運営するか法人が運営するか、保育所と幼稚園で市と県の所管が分かれます。マスクの着用については一律で着用しないという基本方針であるはずですが、市立小中学校の例を見ていると運営もバラバラな就学前施設が推奨通りの対応をはかっているとは考えづらいものがあります。

今回の質問を通告後、改めて公立保育所21園での運用を確認し、厚労省通知どおりの運用がされていると報告がありました。公立保育所が実施できているのであれば、同じ運用を進めるよう、民間保育所や幼稚園に改めて依頼すべきと思います。

質問6の公園や河川管理用通路への熱中症予防の掲示は、私の提案に対し、地域の要望に応じて検討して行くということですので、近隣の公園等への掲示の要望をお寄せ頂ければと思います。

質問7の大人への理解については、これまで市役所らしいホームページとSNSでの発信に留まっていましたが、私の提案を受け入れ、公共施設の見える場所に掲示していくとのことでした。

【質問を通じて】

ゼロリスクが存在しない中、リスクの高い熱中症予防をいかに進めるかということが重要であるという認識に、温度差があるということが課題であると思います

 保護者の考え方の違いやマスクによる対立を生む可能性を避けるため、マスクを外したくても外せない子どもたちがたくさんいます。

 2年を超えるマスク生活から、場面によってマスクを外せる社会になっているにも関わらず、その理解が進んでいないのが実情です。規制を掛けるのは得意な行政は、リスクゼロではない中で規制緩和を伝えるのは不得意です。

 しかし、何が大切か?を忘れてはいけません。

子どもたちの生命を守るために決断して行くことが大人の責任であり、行政の責任です。

一日も早く統一的な運用がはかられるよう、引き続きこの問題に取り組んで行きます。

【参考】

 厚生労働省「子どものマスク着用について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html

 環境省「熱中症対策リーフレット」

https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/20200621_orange.pdf

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著者について

月本琢也 ツキモトタクヤ

1978年生まれ。神奈川大学卒業後、建築設備メーカーの営業マン、川崎市長阿部孝夫政務秘書、衆議院議員山内康一第二秘書(麻生区担当・国会担当・自民党→みんなの党)等を経て、2011年より川崎市議会議員(麻生区選出、当選3回、現在無所属)。交渉会派団長2回、議会運営委員会委員、川崎市農業委員、川崎市都市計画審議会委員等を歴任。今年度は文教委員会委員を務めている。13,000人の職員を巻き込んだ決算議会改革の実現、防犯カメラ設置補助事業の導入の実現など、ICT・コミュニティ・実効性から、SDGsのゴールを含めた持続可能なまちづくりを目指す。その他に、防災士、神奈川県クッブ協会代表理事等を務める。