初当選以来、防犯カメラの有効な設置による犯罪抑止を提案しています。その成果の一つが、平成28年度から市の地域自主団体への防犯カメラの設置補助事業の導入でした。
月日が流れ、川崎市は刑法犯認知件数が政令指定都市で最も低いというデータがあるものの、認知されていないものや未遂に終わっているものなどがあり、「安心」につながっていないのが実情です。
例えば、公園や緑地周辺は暗くなりますし、時間帯によって人通りがなくなる場所もあり、地域と警察と市が連携した戦略的な対策の検討が必要です。
このような中、今年の市長の施政方針では防犯カメラの戦略的な設置が示され、詳細を伺うため、予算審査特別委員会で質問しました。
戦略的というからには、これまでの商店街や町内会等で設置している防犯カメラおよび市の公共施設に設置されている防犯カメラ・監視カメラの場所を確認し、犯罪発生やカバーできていない場所等の分析を進めていると思っていたら、そうでもなかった。
これが今年3月の予算審査特別委員会での質問でした。
市長が施政方針で話すということは、当然今年度に何らかしらの内容が示されるべきと同委員会で詰めたところでしたが、具体的な回答は得られないまま、この令和4年度が始まりました。
重点地区に設置を検討
本日の文教委員会で、防犯カメラの戦略的な整備の方針が唐突に示されました。
戦略的とは言っても、重点地区を設定し、そこに配備するもの。
令和2年度の川崎市各区での刑法犯認知件数は、以下のとおり。
川崎区 2021件
幸 区 678件
中原区 845件
高津区 984件
宮前区 500件
多摩区 866件
麻⽣区 413件
まぁ、そうでしょうね。
この中でも、川崎区と幸区にまたがる川崎駅周辺地区を重点地区の候補地とする案が示されました。この根拠が川崎駅周辺での刑法犯認知件数が720件というものです。
戦略的な整備に疑問
「戦略的」を連発する割に、委員会での私の質問に答弁が難しい状況。
例えば、市の補助制度を使って設置されている防犯カメラ、公共施設にある防犯カメラ・監視カメラが、重点地区にどれだけあるのかについて答えらず、3月から状況の変化が感じられないところで驚きました。
このような中、補正予算を編成して今年度から民間事業者に委託して整備を検討して行くとのこと。
少し、理解しがたいところです。
今後は?
「戦略的」というからには全市的な対応を期待していたものの、重点地区が対象というのは期待外れで、「また川崎駅か」と落胆してしまうところもあります。
しかし、「戦略的」という言葉を使う以上、川崎駅周辺地区での導入を進めると同時に、現時点で調査しきれていない犯罪発生ポイントに対する防犯カメラの設置を含めた防犯対策をしっかり検討していくべきです。
「川崎駅周辺への設置で終わりということではない」という重要なポイントは確認しましたので、今後の「戦略的」な対策を全市に進めて行けるよう、引き続き活動していきます。
【参考:令和4年8月18日川崎市議会文教委員会資料】
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著者について
月本琢也 ツキモトタクヤ
1978年生まれ。神奈川大学卒業後、建築設備メーカーの営業マン、川崎市長阿部孝夫政務秘書、衆議院議員山内康一第二秘書(麻生区担当・国会担当・自民党→みんなの党)等を経て、2011年より川崎市議会議員(麻生区選出、当選3回、現在無所属)。交渉会派団長2回、議会運営委員会委員、川崎市農業委員、川崎市都市計画審議会委員等を歴任。今年度は文教委員会委員を務めている。13,000人の職員を巻き込んだ決算議会改革の実現、防犯カメラ設置補助事業の導入の実現など、ICT・コミュニティ・実効性から、SDGsのゴールを含めた持続可能なまちづくりを目指す。その他に、防災士、神奈川県クッブ協会代表理事等を務める。