市の指針の外国人参政権に関する記載の問題

11月22日の文教委員会において、川崎市多文化共生社会推進指針(改定版)(案)が示され、パブリックコメントが11月27日から12月27日まで実施されています。

https://www.city.kawasaki.jp/templates/pubcom/250/0000155938.html

この委員会の資料に書かれている「地方参政権の実現については、他の⾃治体と連携しながら国に働きかけることを検討します。」という文言に気づいた三宅隆介委員が質問したということから、私もこの指針について確認しました。

この指針は2005(平成17)年に策定され、2008(平成20)年に改定されたもので、私は後日確認しましたが、先述の「外国人参政権の実現について国に働きかけることを検討する」旨の記載は当初からあったということです。

川崎市には1996(平成8)年に設置された外国人市民代表者会議があり、毎年、年間報告を市長に、また市議会文教委員会では慣例で同会議の正副委員長を参考人招致して報告を受けます。

外国人市民代表者会議からは過去に外国人参政権の実現の検討を求める意見がありましたが、その当時、川崎市としては国や他都市の動向を注視する程度の考え方でした。

しかしながら、この指針は川崎市が行政として示しているもので、役所用語で言えば「検討する」は、「前向きに進める」意味合いですので、言い換えるなら、「川崎市が外国人参政権の実現に向け、国に働きかけていきたい」という表現になります。

そもそも、外国人参政権については、政党間だけでなく議員間でも意見が分かれています。

それに対し、川崎市行政が策定した指針にこのような記載があることは到底容認できないことです。

そもそも、憲法第十五条に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と記されており、我が国においては、国・地方ともに外国人が選挙権・被選挙権を有することは、現在の憲法上、あり得ません。学説によっては現憲法でも可能とする解釈もあるようですが、条文や判例から考えても、外国人参政権は憲法改正を前提とするものになります。

憲法上の解釈から考えて難しい外国人参政権について、川崎市が実現に向けて働きかけるような誤解を招く記載は削除すべきと考えます。