ここにある資料は、大阪・関西万博来場者輸送具体方針(アクションプラン)第 2 版のもので、来年開催予定の大阪・関西万博の来場者は2,820万人、このうち海外から350万人、近畿圏外から911万人を見込んでいるようです。
しかし、関東から275万人が行くと見込まれているにも関わらず、私の周りで「行きたい」と思っている人に出会ったことがありません。
関東の人口がおよそ4,330万人と考えると、単純に関東のおよそ50人に1人が行く計算になりますが、1人で何日も行く人を見込んでいるのか、まだ、275万人のうちの1人に出会っていません。
また、遅れている中に、能登半島地震が発生。どの業種も人材不足と言う中で、万博が間に合うのか?とさらに疑問が生まれます。
これだけ、事前に問題だらけになると、行きたいと思っている人も行きづらくなる心理が働きます。
しかし、多額の国費が投入されており、開催の効果が求められるところですが、地盤の問題、アクセスの問題、パビリオンの建設予定の目途が立っていないなど、様々な問題が発生しています。
行きたいと思わないイベントを開催するにあたり、私たち川崎市民は他人事ではありません。川崎市民は我が国の人口の約1.2%ですが、我が国の国に納めている税金のうち、川崎市から納めている割合は1.51%を占めています。
会場となる夢洲のインフラ整備に9兆7千億円(国・自治体・民間)、万博アクションプランに関連して3兆4千億円(全額国費)が「万博の費用とは別」と政府が主張している費用に加え、万博費用として3,214億円が試算されています。物価高騰等の理由で当初より上がっているという報道はよく聞きます。
最も大きい夢洲のインフラ整備に関わる費用の国庫補助額がいくらかわかりませんが、それ以外の国庫負担額の見込みを単純に1.51%を掛けるとおよそ562億円。
つまり、インフラの9兆7千億円のうちの国費割合が25%と仮定すれば、2兆4250億円で、その1.51%としたら366億円になります。
国費負担は国債等も影響していますが、単純に税収の割合で考えると、川崎市から納めた国税で負担している金額は928億円と言えます。
そう考えると、全然他人事じゃないですよね。
ちなみに、近年の川崎市の巨大公共事業の二つの金額は・・・
川崎市役所新本庁舎の建て替えから建築まで合わせて、約470億円。
まもなく完成する橘処理センターの解体建設費を合わせて、約344億円。
この2事業の合計が814億円ですから、川崎市民の納めた国税から大阪・関西万博に投入していると単純試算できる金額は、この2事業を超えるかなりすごい金額になります。
万博がすべて悪とは思いません。
空飛ぶクルマをはじめ、我が国が世界に誇る技術力を示したり、訪日外国人に日本のよさをさらにアピールしたり、パビリオンを通じ、国際的なつながりをつくっていくことになったりと、人・モノを引き寄せる求心力として、様々な可能性を持っています。
しかし、これは開催して成功したという結果をもって言えることで、パビリオンの建築が遅れている状態にあることや、アクセスの問題など、事前に指摘されている課題も多く、「行きたい」と思われていません。
では、今の夢洲はどんなところか?と疑問に思い、先日、日帰りで視察して来ました。現地を見た上で、私の考えをまとめているところです。
日帰りで行ったのが月曜日。
万博会場を上から見ようと、隣の島である咲洲へ。
55階建ての大阪府咲洲庁舎(さきしまコスモタワー)の最上階に展望台があるようなので行くと、定休日。
他のフロアから見えるかと思い、エレベーターホールに行くと、何も使われていないフロアがたくさん。
では、少し夢洲に近いアジアトレードセンターに行ってみましたが、こちらも新築のビルのようにテナントがほとんど入っていない状態。
ランチタイムで降りて来たのは、大阪府と大阪市の職員らしい人ばかり。
こんな咲洲よりも沖にある夢洲は、港湾物流の拠点として活躍できる可能性はありますが、一般の人が来る場所としては、咲洲よりもさらに不便という印象です。
咲洲は余談になりましたが、大阪・関西万博について、どうすべきか?を様々な観点から考えていますので、今後、何回かに分けて連載したいと思います。