本日の市民委員会では、陳情第174号 マンション「フォルスコート多摩川久地」前の横断歩道に信号機の設置を求める陳情を審査しました。
現地視察をした上での陳情審査でしたが、行政の所管の課題も一つの視点として挙げられます。
道路を管理しているのは、川崎市。
でも、信号機を始めとした交通規制を所管するのは警察ゆえに神奈川県。
信号機の所管が違うのですが、道路管理者を所管するということから、神奈川県議会ではなく川崎市議会に陳情されているのだと考えられます。
今回の審査では、結論だけ見ると、誤解を招きかねないわけですが、誤解を恐れず、何をもって審査をしたのか、私の考えを書かせて頂きます。
陳情審査にあたり、次のポイントを考えました。
1、信号機を設置することが安全対策としてもっとも適切なのかどうか。
2、この交差点に信号機を設置することが、川崎市の中で最も優先されるべきなのかどうか。
3、所管ではない川崎市議会の審査による及ぼす効果はどうか。
1つめのポイント。
横断歩道がすでにあり、横断歩道に歩行者が差し掛かる時点で車は停車しなければならないわけですが、その運用が徹底されるよう、取り締まりの強化を進めること。
また、歩行者がいることに対する注意喚起を進めること。
これらの取り組みを進めることにより、事故防止の可能性があり、また、信号機を設置しても事故が発生する可能性が低下するかと言えば、その効果が期待できない可能性があります。
ゆえに、信号機設置が安全になるという判断はできないと考えました。
2つめのポイント。
信号機の新設は、平成25年度、神奈川県内で17基、そのうち川崎市内で3基を設置。平成26年度で県内15基、そのうち市内で2基の設置予定。
神奈川県警で優先順位を決めているわけですが、予算削減傾向にある中、新設数は非常に少ない状況にあります。
そんな中、優先順位を考えても、当該交差点に設置することが、川崎市内で上位の場所と言えるのかどうか。
3つめのポイント
そもそも、人口が増えている川崎市ですから、信号機の総数を増やしてほしいという趣旨の陳情でしたら、市民代表として神奈川県に要望したいと考えますが、今回は特定の交差点への要望ということです。
そもそも危険性を分析した上で、信号機設置がもっとも適切であると判断された交差点に優先度が高められています。
また、神奈川県が権限を持っている警察の予算決定権ですから、川崎市には権限がありません。(信号機設置の際に交差点改良が必要な場合は、道路管理者の川崎市も同時に工事を行うことになる場合もあります。)
権限がない場所で予算をつけることは決められないという実情があります。
私も地域の方から近所の交差点に信号機を設置したいというご相談を受け、警察署の方々とのやりとり、警察への要望書提出のお手伝いをしたことがあります。
直接所管である警察署に要望を提出している地域がたくさんあり、所管ではない川崎市議会に陳情が提出されたケースについてだけ特段の取り扱いをするということにはならないわけです。
以上の理由から、委員会審議での各委員から様々な意見が出たので、それをもとに安全対策を進めていくべきで今後の経過を見ていきたいということから、「継続審査」を主張しましたが、少数だったため、規則により、趣旨採択か不採択かの判断をすることになりました。
当該交差点で事故が発生している事実はありますので、パトロールや取り締まり、危険性の啓発などの手段で、神奈川県警察、川崎市、地域が一緒になって安全を考えていくことが大切です。
しかし、信号機設置要望について、市内すべての要望に対し調査し、審査をする立場にないということで、陳情が上がった場所だけ判断するというのは公平性に欠けるという点、趣旨採択であったとして予算決定権のない市議会で決まったことで陳情者に期待を持たせてしまうだけになるという点、また、より優先度の高い交差点があると考えられることから、「不採択」という判断にしました。
ただし、私を含む無所属2名が不採択を主張したものの、他の委員は趣旨採択という意見だったため、委員会の審査結果は「趣旨採択」になりました。