社会生活において、「政治的リテラシー」という言葉に関係しないものというのはないのですが、政治的リテラシーを高めるために、必要な教育方法のうち、代表的なものを挙げます。
これらは、1年や2年の短期的なものではなく、幼児教育段階から行うべきものもあり、主権者教育は、政治的なテーマだけでなく、生活や社会全般に関わる点が多く存在します。
社会参加教育
東日本大震災発生以降、地域の絆やボランティア教育についての考えが広がっているものの、社会の構成員という自覚を持つ市民の割合を高めると言う意味では、課題があります。
学校内でもボランティア精神を培い、子どもたちの自主性・自立性を育むことが大切です。
学校でボランティア活動に参加したからよいという目標を掲げるのではなく、この機会に社会参加を促進し、自らの意思で活動に結び付けられるべきです。
議論とコミュニケーションの育成
政治的リテラシーを育成するためには、いろいろな課題を多面的に見て解決するトレーニングが必要です。
一つのテーマについて様々な視点で議論し、互いの意見を尊重し、結果をまとめていくようなワークショップ型の授業、例えば、まちを歩いて地域のいいところや悪いところをまとめるようなワークショップがありますが、このような課題解決が出来る政治的リテラシー育成のトレーニングが求められます。
また、米国では、時事的なテーマを賛否の立場に立って議論をする「争点教育」が進められています。この争点教育は、子どもにとって受け身の教育ではなく、自らがマスメディアや大人たちから情報収集し、考え、そして論理を組み立てて判断することを目的としています。
このように、議論して結果を見出すことが大切で、「三本の矢の教え」のように、一人ではできないことが結果として生まれるわけです。
私は、共生・協働の精神を育むことを目的とし、互いを知り、互いを尊重すること、そして、争点教育のように、自らの手で、またともに手を携えて、解決に結びつけていくトレーニングをすべきと考えます。
ライフステージ教育
政治判断は、多面的な視点や長いスパンをもって考えることも必要で、一人の人生のスパンで、生まれてから死ぬまでの人生設計をどのように考えていくかということが、まず基本になります。現在の問題だけでなく、将来に起こりうる課題についても考えることが「生きる力」につながります。
その意味において、義務教育段階から、ライフステージについて考えていく必要があり、これは社会科や公民科だけではなく家庭科等の複数の科目にも及ぶことで、実生活と政治の関係性を知ることが大切です。
子どもたちが将来、社会の一員として自立を目指す上で、社会の一員として、ライフステージに応じた政治や行政との関わりを学ぶことが大変重要になります。
すなわち、ライフステージ教育は生活と政治の関わりを学ぶきっかけになり、政治的判断力を身に着けるきっかけになります。