先日の決算審査特別委員会において、令和元年度病院事業特別会計決算を継続審査すべきと主張しましたが、継続審査が否決されたため、認定か不認定の選択の結果、不認定にしました。
しかし、私が不認定でも認定多数で認定されましたが、、、
不認定に至った要因は、井田病院レストレラン光熱水費の未請求問題です。
全体のうちから1500万円弱だから占める割合が少ないから、それで一々不認定にしていたら、大変だ!
と、いつもの私なら思うでしょう。
しかし、今回は、特別です。
井田病院のレストランは委託契約され、事業者により運営されています。この事業者への光熱水費の未請求分が累積し、1500万円弱になっています。
流れは左図のようになっていて、原因不明の計測異常により1500万円弱から1145万円へと請求額が変更。
しかし、レストラン事業者側は、追加請求を拒否。
その後、市の言い分としては、レストランが運営できるような仕様になっていなかったので、フロアの使用料免除を実施することにした。
しかし、免除にした時期からしても「家賃免除する代わりに追加請求をちゃんと払ってね」という、怪しい取引が成立したとしか考えられない。
そもそも、誰のためのレストラン?
「未請求分を事業者に取り立てれば、今度はレストランが撤退してしまうかもしれない」
という恐れを抱く川崎市病院局。
井田病院は、駅から遠く、主要街道からも少し離れているため、確かに食事の面での課題はあるでしょう。しかし、入院中の患者さんには食事が提供され、来院された方にはコンビニもあります。職員のためのレストランだとしたら福利厚生ですから、未請求分は事実上税金で立て替えていることになります。
光熱水費の請求を怠った理由?
電力系統は、4系統あったものを、1系統だけしか仕様で見込んでおらず、残りの3系統を計測しておらず、請求漏れでした。さらに、その後、調査すると、設定の誤りで異常値が出ていたため、電力量計が未検定品だったことも明らかになりました。
また、水道系統では給湯系統の請求漏れが発覚し、追加請求を行うことになりました。
そもそも事業者は知らなかったの?
月3万円程度の光熱水費で病院レストランが運営できるはずがなく、これを契約前に指摘すべきだったのでは?と思います。逆に、ラッキーと思って受けていたのかもしれませんが、市が出して来た仕様が正しいと思い、また、家賃免除みたいなことが急に行われるぐらいですから、光熱水費も月3万円までしか請求しないと思ったのかもしれません。ここも怪しいとこかと思います。
遅延損害金扱いは?
遅延損害金は、民法412条1項では、期限の翌日から発生。もう一方で、民法412条3項では請求後から発生。この場合はどうなるのでしょうか?決算書類上に正式に掲載されていないので不明とのこと。
要は多額の立替金を回収するかどうか?
すでに、井田病院として光熱水費を支払っているわけですから、事業者の分を立て替えています。この立替金を回収するかどうかが、今回の問題の基本です。
立替分って、病院のお金で払っているわけで、80億円以上の税金が投入されている病院ですから、当然、立替の原資に税金が入っていると言えます。
バーターと公文書改ざん疑惑
未請求分の支払いと家賃免除のバーターで終わらせようという発想なのか、発覚後に家賃免除を行うよう病院局は提案していました。
その間、正式な書類の取り交わしがなく、行政財産使用許可伺書、使用料免除申請書が一年遡及して作成されていた事実が発覚。つじつま合わせの公文書改ざんの可能性があります。
病院経営に不安
水道系統で、給湯系統の請求漏れについてですが、他の多くの施設と異なり、病院設備の場合、独立した給湯系統があるのは一般的です。そんな基本的なことを見落としている病院局が病院経営を行っていることに不安を覚えます。
決算審査と誤解のないように
決算審査特別委員会健康福祉分科会で、議会へ検証報告書を提出する旨の答弁がありましたので、様々な問題の検証報告があって最終的な結論を出したいところでした。
そのため、「継続」を申し出たものの、反対多数で継続が否決されましたため、「不認定」とさせて頂きました。
誤解のないようにしたいのは、川崎市立井田病院に勤務する医師や看護師を始めとした医療従事者・職員は、命を守る最前線で真剣に取り組み、多くの患者より信頼されています。レストラン運営という病院経営の側面での問題がありますが、医療従事者が最高の医療を提供すべく、がんばっていますので、この点は誤解のないよう、ご理解頂きたく思います。
行政のチェック機能を果たすための議会
決算審査特別委員会の審査方法が、平成25年度決算を審査する平成26年9月から改正されました。それ以前は、1人30分ずつ4日間の審査で、4日目に採決を行う形式でした。
決算審査特別委員会を市長出席のもとに実施し、分科会審査→全体会総括質疑という形式をとるように提案したのが、9年前、一期生で一年目の私でした。議会運営検討協議会で審議し、この方式の検討が進められ、平成26年9月から現在までこの方式です。
基本的に、議会全体で行政の決算を審査するという立場から始まりましたが、その効果が目に見える形になったのは今回が顕著であったと思われます。
分科会ではそれぞれの委員の視点で質疑が行われますが、その結果をどのようにつなげていくべきかを、総括質疑でまとめていくというのが、この方式の基本スタイルです。
今回は、健康福祉分科会でみらい会派の岩隈千尋委員が、病院事業会計の審査の際に、この問題を取り上げました。
金額の大小ではなく、問題の根深さや問題発覚後の対処等が、著しく問題であり、検証報告書の提出を待たないと最終結論は出しがたいものでした。しかしながら、検証報告書は会期中には間に合わないため、今定例会は継続審査すべきと判断しました。
と考えていると、岩隈委員が団長を務めるみらい会派、無所属の吉沢章子委員も同じ考えであり、ともに継続審査を申し出ました。継続審査が否決されたため、認定か不認定を決断することになり、みらい会派、吉沢委員に加え、重冨委員が不認定と私を含め13名の委員が不認定としましたが、認定多数で、認定されました。
分科会審査と全体会審査の二段階にした効果はあったものの、継続審査または不認定には至らず、非常に残念です。認定してしまえば、次年度もこのままでいいと市側が誤認する可能性もありますので、けじめはしっかり取っておくべきですので、継続でなければ、やはり不認定にすべきです。