財政の硬直化?

zaisei議会を傍聴されると、たびたびこの言葉を耳にすると思います。

今回の決算議会でも、質問や答弁でこの「財政の硬直化」と言う言葉が出て来ます。

「硬直=硬くなって自由が利かないこと」

と解釈して頂くと、財政の自由が利かなくなっているということを示しています。

 

川崎市のお財布(平成28年度一般会計決算)を見てみると・・・

収入全体で約6,148億円。

収入は、市税(3,053億円=市民や市内事業者から徴収した税金)と、市債(470億円=いわゆる借金)、手数料その他の収入(1,318億円)、国県からの支出金等(1,302億円)で成り立っています。

市税と手数料等以外は、他から調達しているお金で、市債は借金ですし、国や県の交付金は市の裁量ではどうにもなりません。

すると、市税収入は全体の半分に満たないわけです。

以前、税金以外の収入源として、「市が行う事業で儲かった分を、一般会計にどんどん入れて、税負担をやわらげるために計画を立てて行こう」と議会で提案しましたが、行政側は非常に消極的でした。

 

支出全体で約6,110億円。

支出は、人件費(929億円)、扶助費(1,717億円=生活保護や保育所等)、公債費(725億円=いわゆる借金返済)の義務的経費と呼ばれるもので約3,372億円。道路建設や施設運営、活動補助などの投資的経費と言われるものが814億円。その他経費と呼ばれる支出が1923億円。

と言うところで、義務的経費(=いわゆる固定費)だけで全体の55%を占めています。人件費は阿部前市長就任以来の行財政改革の中で、当時から3割の人件費削減を行っており、毎年減少傾向にあり、公債費も減少傾向にあります。しかしながら、扶助費が毎年増え、義務的経費の割合は数年前から5割を超えてしまいました。さらに、国民健康保険や介護保険の税負担分は繰出金に入っていたり、今年度から始まる中学校給食の固定費は投資的経費に含まれることになったり、事実上の固定費まで換算すると、7割近くなってしまうのではないでしょうか。

 

財政の今後の考え方の方針として、「義務的経費÷市税収入=100%以内」という目標を掲げています。しかし、目標を掲げた平成28年度から早速前年度より悪化し、110%を超えています。

こういった、固定費の占める割合が大きくなっていることを、「財政の硬直化」と表現されています。

硬直化した上に、巨額の投資で進めている中学校給食の導入でさらに硬直します。市民のみなさまが陳情や要望を出してもかなわない理由は、財政の硬直化が一つの原因と言えます。

 

政策効果がどれだけ現れるか?

本当に困っている人を助けるためにはどのようにすべきか?

個別の要求にただただそのまま応えているだけだと、税金はいくらあっても足りません。

そのために、政治家は生の声に耳を傾けると同時に、先入観で抱かれているものをどれだけしっかり市民に説明し、対話していくかが大切であると思います。