川崎市小児医療費助成の拡充案について

本日の文教委員会で来年9月開始予定の小児医療費助成拡充案についての報告がありました。

中学校3年生まで自己負担額500円を超えるものについては所得制限を撤廃するというものです。

この内容について、私は受診控え対策と財源対策について2つの視点から質疑したことについて書きました。

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横浜市の小児医療費助成拡充の発表の影響で、9月議会で唐突に市長が言い始めたことで、政策的な根拠がない決定だったため、この制度が「持続可能な形」で進められるのかが疑問でした。

これまでは、保険医療費の中学校卒業までの入院分と小学3年生までの全額助成、小学校4年生~6年生は保険医療費の自己負担分で通院1回あたり500円を超えた額の助成でした。

小児医療費助成の中学校卒業までの拡充ということで、今回は通院については小学4~6年生までの保険医療費の自己負担分で通院1回あたり500円を超えた額の助成を中学校卒業まで拡充する制度です。

ただし、住民税非課税世帯については自己負担なく全額助成になります。

制度の拡充については、本来は国が一律の制度を作るべきです。川崎市の子どもと他都市の子どもで経済的な理由で医療が受けられる機会に差がある現状を国が解決すべきですが、国が進めない中で市が実施せざるを得ないとことを理解できるところですが、2つのポイントについて質疑しました。

受診控えを防止する目的の制度として

住民税非課税世帯は無償でも、所得が高くない世帯や子どもが多い世帯で就学援助を受けている世帯があります。500円の自己負担が受診控えにつながっているのは、どのような世帯なのかの分析が必要になります。就学援助を受けている世帯は非課税世帯だけではありません。残念ながら、就学援助を受けている世帯の医療受診に関する調査や分析は行われていないという答弁でした。

500円の自己負担分により、年額で3億5千万円の影響があるということですが、就学援助世帯を加えないと受診控えをなくすということにはならないと考えます。

財源問題について

小児医療費助成の拡充が進まない原因として、財源問題があります。

9月議会が始まる前に、高齢者のインフルエンザワクチン接種無償の補正予算を提出するという説明があったため、その予算と残りの国からの交付金を合算して、まずはこの年度に限っても小児医療費助成の拡充をすべきと主張しました。

しかしながら、9月議会冒頭で市長が小児医療費助成の拡充を表明。具体的なものが占めされていない中でしたが、二か月半を経て、具体的な内容を詰めた結果が今日の発表でした。

国からの交付金はあくまでコロナ関連の一時的なものに過ぎないことと、小児医療費助成の拡充分は市が単独で出す財源になってしまうことから、来年秋から始まるこの制度に年額の増加分で考えると約17億円になる財源を捻出するのかが注目されます。

今年3月発表の収支見通しでは、大規模投資的事業が落ち着き、収支均衡になると言われている令和8年度ですが、この試算ベースに小児医療費助成拡充を合わせると3年先送りになると思われます。

そこで、財源確保策の一つとして、ふるさと納税に「小児医療費助成」のメニューを追加できないのかを提案しました。扶助費にあたるものに寄附が可能なのかどうかについて当局側に調査の上で後日答弁もらうことになりました。

学校ふるさと応援寄附金が年々増加していますが、どのような目的に使われるかが分かれば、そこに納税したいという市民の想いを財源につなげるというシンプルなものです。

小児医療費助成を目的とすれば、市内外からのふるさと納税の可能性はあります。私も地方出身者ですが、孫のためにと思う田舎のおじいちゃん・おばあちゃんが川崎市に寄附してくれるかもしれませんし、小児医療を支援したいと思う市民が納税先として選択してかもしれません。

「新しい事業を始めると財源捻出に他の何かを削らなければいけない」

「ふるさと納税の予想以上の流出で財政の見通しが不安定」

そんなマイナス思考から始まることだけでなく、市の職員は新しい事業で新たな財源も考えるという気概を持つべきです。

ふるさと納税メニューにできるかどうかの結果は後日回答が来てからアップしますが、子ども施策への寄附が増えれば、増加分の余剰分を回していくことも可能になります。

「肉や魚には敵わない」

ではなく、子どもたちのために必ず使われる事業は、肉や魚に勝るので、検討すべきです。